東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

「ビュールレ展」の源流(下) 小さな美術館にピカソ130点

 オスカー・ラインハルト、バイエラー、そしてビュールレ。スイスには世界的に有名な美術品の個人コレクターが多く、プライベート美術館をつくって作品は公開されてきた。その一つが、小都市ルツェルンの市街地にあるローゼンガルト・コレクション美術館だ。

 笑顔がチャーミングな館長のアンジェラ・ローゼンガルトさんは一九三二年生まれ。他にガイド兼学芸員が二人の小さな美術館を切り盛りする。コレクションを所有し公開することの喜びを問うと「こんな作品を見られて幸せですと多くのお客さんが声を掛けてくれます。それが本当に幸せです」と教えてくれた。

 画商だった父の下で十六歳の時から働き始めた。画商は、絵で生計を立てる。ところが、心引かれどうしても手放せない作品が少しずつ手元に残っていった。「よくどの絵が一番か尋ねられるのですが、全て一番愛する作品です。全ての絵は頭ではなくここで選びました」と自分の胸に手を当ててほほ笑んだ。

 父亡き後の二〇〇二年、美術館をオープンした。ピカソの百三十点をはじめ、クレー、マティス、モネ、セザンヌの作品がそろう。

 特筆すべきはアンジェラさんが同時代を生きた画家たちと親交を育んだことだ。ことにピカソとの友情は深い。本人に請われてたびたびモデルを務め、作品は全てプレゼントしてくれた。その五点も展示している。

 「一面的には気難しい人だったかもしれません。彼は自分のしたいことをしました。でもいったん友情が芽生えれば、その人に喜びを与えるためにいろいろなことをしてくれました」

 愛情を注ぐ作品は一点も自宅に残すことなく、全て美術館で展示してある。貸し出しは一切ない。つまりここでしか出会えない名画を紹介するため、きょうもアンジェラさんはお客さんを待っているはずだ。 (森本智之)

     ◇

 「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」(東京新聞など主催)は東京・六本木の国立新美術館で五月七日まで。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】