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【首都圏】

手紙添え「思い出の品」届く インドの子に楽器を 反響続々

楽器に手紙を添える人が多い(岡田さんの手紙の一部)

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 インドの子どもたちにリコーダーなど使わなくなった楽器を贈ろう−。群馬県太田市の会社経営鈴木信雄さん(65)が取り組むボランティア活動を本紙が紹介したところ、首都圏各地から多数の楽器が寄せられた。かつて子どもが使った思い出深い楽器を捨てられずにいた母親らが、楽器が使われ海外の子どもの笑顔につながると喜んで応じている。思いをつづった手紙を同封する人が多く、鈴木さんは感激している。(粕川康弘、竹島勇)

 ♪リコーダーやけんばんハーモニカは娘たちが四十年も前に使ったもので、古くて恐縮です。布製の袋に入れてあるもの(横笛)は音楽好きだった夫が若いころに吹いていたものです。形見なのですが使ってくれる方がいたら幸せです。(手紙から、太字は以下同じ)

 千葉市の主婦望月美江(よしえ)さん(77)は現在五十歳と四十五歳の娘が小学生時代に使ったリコーダーと鍵盤ハーモニカ、二〇〇九年三月に病気で亡くなった夫の横笛を提供した。

 一人暮らしの望月さんは楽器を家族の写真とともにいつも見える場所に飾っていた。「子どもが使った楽器は家族の楽しい思い出。捨てる気にはならなかった。ただこのまま置いておいても楽器としては生かせないと思っていたので記事を読みすぐ贈ることを決めました」と話す。横笛は、夫が亡くなる数日前に家族に囲まれてアイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」を演奏した思い出深い形見だ。「私は貧しい母子家庭に育ち文房具が買えなかった。インドの子どもたちが楽器を使ってくれたらうれしい。娘たちも『お母さん、良いことをしてくれた』と言ってくれました」

 ♪わが家の押し入れにもありました。息子たちが使った楽器です。吹いていた姿を思い出します。 

 東京都世田谷区の団体職員岡田律子さん(67)は現在三十五歳と三十歳の息子が小学生時代に使ったリコーダーと鍵盤ハーモニカを提供した。「学芸会や発表会で一生懸命に演奏している子どもの姿が忘れられず、使わないのに取っていた」と言う。

 楽器が楽器として海外で再び使われることに共感したと言う。「楽器は人と人をつなぎ、笑顔を生み、幸せにしてくれる。インドの子どもたちがこの楽器を演奏して笑顔が生まれるのは素晴らしい。ぜひ演奏を聴いてみたい」

 また、「楽器の奏でる音楽は言語や人種を超える。世界には国際的な紛争もあるが、楽器を通じて友好関係や平和をつくっていくことはとても良いことだと思う」と期待する。

寄せられた多くのリコーダーや鍵盤ハーモニカなどに喜ぶ鈴木さん=群馬県太田市で

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◆呼び掛けの鈴木さん「感激」 募集終了しインドへ送る準備

 「こんなに集まっちゃったよ」。楽器に囲まれ鈴木さんはうれしい悲鳴をあげている。「インドの子どもたちに楽器を贈ろう」という「音楽 de スマイルプロジェクト」に共鳴し、群馬県の窓口となり活動している。

 活動を伝える記事は3月4日のメトロポリタン面に掲載。東京都や千葉、埼玉、神奈川県などからもリコーダーや鍵盤ハーモニカなどが提供された。鈴木さんはほとんどが本紙記事を読んだ人からのものとみられるという。楽器の数は3月末で650に上る。ほとんどの楽器に添えられた手紙には楽器と家族の思い出や活動への感謝の言葉がつづられている。

 「本当にありがたい。楽器と手紙から皆さんの思いが伝わってきます。子どもの楽器はごみとして捨てられないんだね」と鈴木さんは感激。「手紙を読むと泣いちゃって楽器を整理する手が止まっちゃうんだ」

 今回の楽器の募集は終わり、インドへ送る準備をしている。

 

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