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【首都圏】

雑音カット 声を増幅 補聴器補う「会話器」開発

フェース・トーカーを手にする西尾さん。壁に掛かっているのは首掛けタイプの会話器=横浜市神奈川区で

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 難聴の人が日常会話や会議、講義の聴講を円滑にできるようにする「会話器」を横浜市神奈川区のベンチャー企業「Jumpers」(ジャンパーズ)が開発した。従来の補聴器が周囲の雑音も増幅するのに対し、機器を持った人の声だけが届くようになっている。(志村彰太)

 会話器は、声を無線で送る「フェース・トーカー」(縦九センチ×横七センチ×厚さ二センチ、九万一千八百円)と、有線タイプの「対話くん」(縦五センチ×横五センチ×厚さ一・五センチ、二万一千六百円)の二種類。フェース・トーカーは会議や講義で、対話くんは一対一の会話で使う。西尾俊広社長(62)に実演してもらうと、声が鮮明に聞こえ、遠くに離れても耳元で会話しているようだった。まだ高額なため、行政の相談窓口、障害者雇用を進める企業の会議、大学の講義などでの使用を想定する。

 西尾さんは起業前、日本ビクターで「難聴者のための音響機器」を開発していた。二〇一一年に同社がJVCケンウッドと合併したのを機に研究を継続できなくなり、独立した。

 起業後、難聴について調べると「雑音が多い環境での会話など、補聴器でカバーできない部分がある」と知った。雑音をカットして声を増幅できないか考え、話者にマイクを付けて無線や有線で声を送る「会話器」の着想を得た。

 一三年に首掛けタイプを発売し、介護施設や学校で試してもらった。「首が疲れる」「首元が目立って恥ずかしい」といった改善要望を受けて昨年十一月、胸ポケットに入るフェース・トーカーと、手のひらサイズの対話くんを開発。首掛けタイプと合わせ、これまでに大学や病院など四十カ所に販売した。

 横浜市旭区は昨年十一月から、対話くんを窓口で使用。介護保険の受給相談などで訪れるお年寄りも多く、新井隆哲(たかのり)・区高齢障害支援課長は「プライバシーに関わる相談だと大声で対応できず、以前は筆談や身ぶりで受けていた。職員や来庁者から『相談しやすくなった』という感想が寄せられた」と評価する。

 課題は価格と大きさ。小型化と量産化で値下げを目指すという西尾さん。「誰もが普通に会話を楽しめる社会にしたい」と強調した。

 

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