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【首都圏】

<談論誘発>「ねじれ現象」おかしい 空き家あるのに居住の場がない

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◆明治大学理工学部教授・園田眞理子(そのだ・まりこ)氏

 明治大学で開催された「ソーシャル・インクルージョン(社会的包容力)とホームレス・ゼロ」をテーマにしたシンポジウム(都市政策フォーラム主催)に参加、日米および世界での生活困窮者に対する居住支援の実情と取り組みについて、大いにディスカッションする機会を得た。

 米国から参加した市民運動家のハガティ氏やジョンソン氏を驚かせたのは、日本の生活困窮者に占める高齢者の多さ。被生活保護者全体に対する六十五歳以上の高齢者の割合は全体の45・5%。この数字に驚愕(きょうがく)したようだ。

 二人を驚かせたもうひとつは、日本の空き家の急増である。二〇一三年の住宅・土地統計調査では、空き家総数約八百二十万戸のうち半数は賃貸用の住宅だが、耐震性があり駅から一キロ以内のものが百三十七万戸。さらに近年増加しているのが元持ち家の「その他の住宅」で耐震性があり駅から一キロ以内のものが四十八万戸もある。有り余る空き家があるのに、居住の場のない人があふれているという日本の「ねじれ現象」は、誰が考えてもおかしい。

 こうした状況を打開すべく、私は高齢者住宅財団のもと「地域善隣事業」の名称で展開されている高齢者の居住の安定確保を実現する取り組みに参加してきた。厚生労働省により、四年前から全国十五の自治体でモデル事業が行われている。

 これを通じて分かったのは同じ地域内に住宅の遊休化に悩む家主・不動産事業者と生活困窮者のための住まいの確保に悩む福祉関連の支援者がいながら、両者が交わることがないゆえに、何も始まらなかったこと。両者が一堂に会して手をつなぎ合えば、着実に生活困窮者一人ずつに手が届き、安定的な居住と生活が回復できるはずだ。

 昨年十月、「改正・住宅セーフティーネット法」が施行されたが、これは高齢者、低所得者、障害者、ひとり親等の住宅の確保に困窮する者(住宅確保要配慮者)を対象に空き家・空き室を活用することによって、安定的な居住に結びつけることが目的だ。

 私はその第一歩として、全国各地の市町村で「居住支援協議会」をつくることを提案したい。「家主・不動産事業者」「居住・生活支援団体」「自治体(住宅部局、福祉部局)」というこれまで交わることのなかった主体が同じテーブルにつくことで新しいことが始まるからである。

 地域の多様な主体が手を携えて地域に存在するさまざまな資源を活用すれば、ホームレス・ゼロは世界に先駆けて必ずや実現できるだろう。

    ◇

 1957年生まれ。民間企業等を経て現職。少子高齢化に対応した住宅・住環境計画、住宅政策が専門。

◆ホームレス

 青山やすし氏 (都市調査会代表)の意見要約

 (1)かつて、「山谷地区」の福祉センター所長をしていた時、ホームレス対策で最も効果があったのは公営住宅に優先入居させる制度と職業紹介だった。

 (2)都会などにホームレスの人々が存在し、またそうなる不安を抱く人々がいるが、人ごとと思わずに「自分だったらどう取り組むか」と考えてほしい。

 (3)まちの不動産屋さんが運営するホームページには、高齢者入居の相談に応じる物件がたくさん掲載されている。現在の対策を強化拡大し、関係機関の連携が進めば、ホームレスの人たちがゼロとなる日も遠くはない。

 (3月31日付)

 

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