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【首都圏】

<中野優理香のJAXAフライトディレクタ通信> 「想定外」に備えよ

中野優理香さんが勤務する「きぼう」運用管制室。左モニターにはISSがリアルタイムで映し出される=茨城県つくば市のJAXA筑波宇宙センターで

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の面接では「宇宙ステーションの開発か運営をやりたい」と希望しており、入社したときの立場は、理系採用で技術職の研究開発員でした。

 運用管制官(フライトディレクタ)になるには、候補者としての推薦から実際に認定されるまで、一年半から二年程度かかります。

 訓練は大きく、自習、講義、シミュレーション訓練の三種類に分けられます。

 自習では膨大なマニュアルを読んで勉強し、講義では約二週間かけて朝から夕方まで知識を獲得していきます。

 この中で最も厳しい訓練がシミュレーション訓練です。筑波宇宙センターには訓練用に作られた運用管制室があります。

 辛(つら)い記憶の詰まったこの部屋では、運用管制を模擬し、実際には起こりえないぐらいの多種多様な不具合を大量に発生させて、管制官候補を訓練するスパルタ特訓が繰り広げられます。

 管制官としての難しさはやはり不具合対応です。不具合発生時の報告・説明、不具合内容の識別・手順書の識別、実際のコマンド(司令)の発行・処置を担当一人で行う必要があります。

 このシミュレーション訓練では毎回ボロボロでした。直すべき点、出来なかったこと、勉強不足なことが回を重ねるたびに浮き彫りになって、悔しかったです。

 このふがいなさをカバーするため、日々訓練の準備に追われました。「準備する」とは、訓練に向けた知識の勉強はもちろんのこと、何かが起きた時のwhat−if(もしも〜が起きたら)の検討も含まれます。

 何か決断をするためには「その決断が正しい」という自信が必要です。自信をつけるためには日頃の訓練を積み、準備を重ねるしかないのです。

 国際宇宙ステーション(ISS)のシフトに入る今も「準備」でパフォーマンスの99%が決まります。「想定外でした」が通用しない宇宙では、あらゆる不具合を事前に想定しておく必要があります。「想定外」=「準備が足りない」ということなのです。

<なかの・ゆりか> 宇都宮市出身。宇都宮市立御幸小学校、慶応義塾湘南藤沢中・高等部を経て慶応大理工学部卒業。2012年4月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)入社。14年8月から国際宇宙ステーション(ISS)にある日本の実験棟「きぼう」のフライトディレクタ。17年11月から宇宙ステーション補給機「こうのとり」のフライトディレクタの訓練を始める。

 

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