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【首都圏】

<ふるさと発>岐阜県高山市から 屋台文化支える現代の飛騨の匠

屋台修理のために鉋(かんな)をかける八野泰明さん=岐阜県高山市で

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 絢爛豪華(けんらんごうか)な屋台で知られる高山祭。大工の八野泰明さん=岐阜県高山市=は、三月初めに亡くなった父明さんの後を継ぎ、現代に生きる飛騨の匠(たくみ)として、日本の屋台文化を支える。

 町外れにある工場(こうば)に一歩足を踏み入れると、ヒノキと漆が混じったにおいが漂ってきた。修理を依頼された全国の屋台が並ぶ中、泰明さんが黙々と、富山県の曳山(ひきやま)を修理していた。

 「自分が納得できなければ、どれだけ手間がかかってもやり直す」と泰明さん。仕事に妥協を許さない父から受け継いだ姿勢だ。大きな決断を下す時はいつも「おやじならどうするだろう」と考える。

 明さんは十八年間、高山・祭屋台保存技術協同組合の理事長として、全国の屋台修理に尽力した。技法も考え方も違う各分野の職人を束ねて、一つの屋台を作り上げていた。幼い頃から父を見てきた泰明さん。気付けば同じ道を志し、明さんの下で腕を磨いてきた。「大工の世界を知ると、すごさがわかる」。憧れは目標に変わっていった。

 一月、高山市が優れた修理技術者を認定する「市屋台修理技術者」に認められ病床の明さんに報告した。「これでおまえに任せられる」。屋台にかける思いが誰よりも強い明さんからの言葉に、誇らしさと寂しさが同時に込み上げてきた。亡くなる二カ月前だった。

 泰明さんにとって明さんは変わらぬ大きな存在。「伝統技術を伝え続け、屋台芸術を支えていきたい」(西浦梓司)

 

 

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