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【首都圏】

脳梗塞 増える保険外リハビリ施設 公的サービス 時間、内容に限界

笹森さんの状態をみる理学療法士=豊島区の脳梗塞リハビリセンター池袋で

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 退院後の脳梗塞患者らに保険外で「オーダーメード」のリハビリサービスを提供する施設が増えている。公的な医療・介護保険によるサービスは時間や内容が限られるためだ。ビジネスチャンスとみた異分野からの参入が目立っている。(松村裕子)

 「子どももいる。会社もある。住宅ローンも返さないといけない」

 東京都西東京市の自動車部品輸入販売会社社長・笹森俊文さん(45)は、池袋西口の「脳梗塞リハビリセンター池袋」に通っている。IT業界出身者によるベンチャーのワイズ(中央区)が運営する十カ所目の施設だ。

 昨年十一月、脳梗塞で左手足がまひし、三カ月後に退院した。食事やトイレなど日常生活はできるが、足が震えて階段の昇降に時間がかかり、「発症前のように社長業務をスムーズにこなしたいが、従来のリハビリでは十分な回復が望めない」と悩んでいた。

 センターでは、マンツーマンで、その人用のリハビリを提供。すし職人なら手先の回復を優先し、社長なら座って話せるよう言語聴覚療法などに力を入れる。一回二時間、週二回の通所リハビリで鍼灸(しんきゅう)と理学療法士や作業療法士による施術、運動トレーニングをし、自宅での自主リハビリとあわせて機能回復を目指す。利用は平均五カ月。料金は二カ月で二十七万五千円だが、これまでの利用者は二千人に上る。

 脳梗塞での入院は最大百八十日、平均百日で、退院後は、医療保険でリハビリ病院の外来、介護保険で介護施設を利用できる。認知症高齢者らの機能維持が中心の介護施設では、統一的なメニューで、症状や個別の目的に応じきれない。日常生活はできても、仕事やゴルフ、マラソンといった趣味までこなすのは難しい。

 早見泰弘会長(45)は「年齢的に家庭でも会社でも大黒柱で、職場復帰のためもっと回復したい人は多く、リハビリのニーズは高い」と話す。二〇一四年から手掛け、都内だけでなく神奈川、埼玉、千葉、新潟に施設を拡大。年二十五万人が脳梗塞を含む脳卒中を発症する中、「リハビリ難民は多い」と関西への進出も検討する。

 総合商社の豊田通商も世田谷区に一号施設を開いた。「保険のサービスは抑制傾向にあり、自費でも需要は増える」と、今後三年間に首都圏で計七施設を展開する計画だ。

 国も、高齢化社会の課題を解決する成長分野として保険外サービスに注目している。官民で成長戦略を練る「未来投資会議」が今春、議題にした。担当者は「高齢者の増加と介護人材の不足で、保険内だけでは需要を賄えない。早期予防とニーズに応じたきめ細かいサービス提供のため、選択肢を広げる必要がある」と話し、起業を促す方針だ。

 

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