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【首都圏】

<しみん発>縄文の暮らし 伝える 加曽利貝塚ガイドの会会長・佐々木寿毅さん(79)

加曽利貝塚の「貝層」の断面図の前で小学生に解説する佐々木さん(右)=千葉市若葉区で

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 千葉市若葉区の加曽利(かそり)貝塚は、縄文時代の暮らしぶりを学べる国内有数の遺跡だ。地元住民らでつくる「加曽利貝塚ガイドの会」は、見学者を無料で案内する。会長の佐々木寿毅(ひさき)さん(79)は「人が定住を始めた縄文時代がよく分かり、世界に誇れる場所」と胸を張る。その魅力を伝える会のモットーは「楽しく、無理せず」だ。 (中山岳)

 「土器のかけらだ!」

 四月中旬、加曽利貝塚で小学六年生のグループから歓声が上がった。「よく見つけたね」と、優しく語りかける佐々木さん。約二時間、小学生たちを案内し「縄文時代の人たちの主食はドングリ。他に貝なども食べていたんだよ」などと解説した。集落を再現した絵も見せ、縄文人の生活を分かりやすく教えた。

 会は二〇〇四年に設立。元銀行員や主婦ら約六十人が登録している。会員たちは加曽利貝塚博物館の学芸員から貝塚について学び、ガイドに生かす。佐々木さんは「会員同士が縄文遺跡に関する新聞記事を持ち寄るなどして、知識を深めている」と話す。

 加曽利貝塚は、約五千〜三千年前の縄文中期〜晩期の貝塚や集落遺跡からなる。博物館を含む一帯は約十五ヘクタールで、縄文時代の貝塚では国内最大級の規模だ。明治時代から発掘が進み、貝殻が積まれた「貝層」から、ハマグリやイボキサゴなどの貝殻、埋葬されたとされる人骨や犬の骨が出土。およそ百軒の竪穴住居跡や、形や模様が異なる土器も多数、見つかった。

 昨年十月、日本文化を象徴する遺跡として国宝と同等の価値があるという「国特別史跡」に、貝塚では初めて指定された。指定をきっかけに見学者が増加。同会は一六年度に約一万六千五百人を案内したが、一七年度は約一・五倍の約二万五千九百人に上った。

 会員たちは出土した石オノで実際に木を切ったり、火おこしの道具を再現したりするなど、博物館の事業や教育活動も手伝う。「いろいろな体験もガイドに役立つ」と佐々木さん。見学者には縄文の暮らしを想像し「ふるさとの歴史に愛着を感じてほしい」という。

 貝塚では昨年九〜十二月、四十五年ぶりに本格的な発掘調査があり、耳飾りなどが見つかった。佐々木さんは「今後も新たな発見や研究成果とともに、日本人の原点といえる縄文文化を伝えたい」と話している。

<ささき・ひさき> 秋田県出身で、約50年前から千葉市で暮らし、製鉄所に勤務。2006年に退職し、加曽利貝塚ガイドの会に入る。会の問い合わせは加曽利貝塚博物館=電043(231)0129=へ。

 

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