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【首都圏】

若手表具師と美大生 紡ぐミライ 新作日本画30点を掛け軸に仕立て

ミライ展で発表する掛け軸を掲げる美大生と表具師=東京都千代田区で

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 江戸表具の若手職人たちが首都圏の美術大学生らと組み、新作の日本画を引き立てる掛け軸に仕立てた作品展「掛軸と絵画のミライ展」が十九日から、東京都中央区八重洲の田中八重洲画廊で開かれる。 (野呂法夫)

 昭和の時代、掛け軸を床の間にかけ、書画を楽しむ家庭は多かった。だが住宅に和室が減る中で掛け軸文化は衰退し、日本画家も作品を額やパネルに収めて表現することが増えた。

 この流れに危機感を抱くのが、江戸表具の研究会「表粋会(ひょうすいかい)」(東京)だ。日本が誇る掛け軸や屏風(びょうぶ)、襖(ふすま)を作る技法や知識を継承するためにも、「床の間を離れ、洋間や現代の空間に飾る新しい軸絵の未来を切り開こう」(幹事長・石塚利郎さん)と、会の設立二十年を記念して企画した。

 美術系大学に呼びかけたところ、東京造形大や女子美大、横浜美大など六つの大学の学生や助手、教授計三十人が参加した。

 額絵と異なり、軸絵は巻くことから、学生らは薄く柔軟な作品になるよう試みて制作。表具師たちは手すき和紙や正麩(しょうふ)のりなどを使い、その絵の感性をより引き立てる掛け軸として計三十点を完成させた。

 作品「ある夏の日のなつかしさ」は、金魚二匹がブリキのじょうろの周りで泳ぐ朱鮮やかな絵を、和の風景のイメージで仕立てた。

 「描いた絵の物語性が深まった」と多摩美大大学院二年の片野莉乃(りの)さん(26)が話せば、表具師の野口麻里子さん(46)は「普段は古書画を扱うが、現代作家の作品に取り組み、いい経験でした」と笑顔を交わす。

 東京芸大大学院一年、斎藤愛未(まなみ)さん(26)は福島県喜多方市の新宮熊野神社・長床から見た黄葉の大銀杏(おおいちょう)、多摩美大三年、尾崎菜花(なのか)さん(22)は現代風女性の人物画をそれぞれ描いた。二人とも「軸絵にしていただき、絵の可能性が広がった」などと感想を述べた。

 会の代表で、江戸末期の天保年間創業「経新堂(きょうしんどう)稲崎」の稲崎昌仁さん(48)=東京都中央区=は「画家と表具師の感性が融合してすばらしい作品が出来上がった。掛け軸の良さを見直していただけたら」と話す。

 入場無料、二十四日まで。問い合わせは石塚さん=電090(7170)7135=へ。 

 

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