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【首都圏】

<しみん発>シニア消費者見守り倶楽部代表理事・岩田美奈子さん(56)

買い物客に、ニセ電話詐欺の撃退機器の説明をする岩田美奈子さん(左から2人目)=横浜市中区で

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 ニセ電話詐欺や悪質な訪問販売などの被害から高齢者を守りたい−。そんな思いから、対策グッズの貸し出しや啓発活動に取り組んでいるのが、相模原市南区の一般社団法人「シニア消費者見守り倶楽部(SCMC)」。代表理事の岩田美奈子さん(56)=神奈川県座間市=は「高齢者の自己防衛力を高めたい」と意気込む。 (加藤益丈)

 本格的に活動を始めたのは二〇一六年六月。ニセ電話詐欺の撃退に役立つ、電話の声を録音できる機器を高齢者に無料で貸し出そうと、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」で費用を集めた。

 目標を上回る五十五万円余りが寄せられ、四十二台を購入。会の知名度の低さからなかなか借り手が現れなかったが、地域の祭りでアピールしたのが功を奏し、今は三十四台を貸し出し中だ。会のメンバーは十二人。月一回、駅周辺でPRをし、機器を貸した高齢者が被害に遭っていないかどうか見守りもする。

 今年三月には「笑って得する詐欺対策」と題し、落語家を招いて無料の防犯教室を座間市で開き、定員を上回る人が集まった。「まずは関心を持ってもらうことが大切。そのためには楽しく、面白くないといけない」と話す。

 ニセ電話詐欺の被害は極めて深刻だ。全国の警察が昨年一年間に把握した被害総額は三百九十億円。「事件で失うのはお金だけではない」と、東京都の消費生活相談員をしていた時に耳にした話を打ち明ける。

 相談者は、母親が被害に遭った女性だった。息子を名乗る男に数百万円をだまし取られ、本当の息子(女性の兄)から「なんで俺を信じられないんだ」と叱られた。母親はショックでうつ状態になり、認知症を発症した後に亡くなった。

 「あんなふうに叱られなければ、母は死ななくて済んだのではないか」という女性の言葉が忘れられない岩田さん。「事件は被害者本人だけでなく家族の心も傷つけ、不幸にする。被害に遭わない対策が必要だと痛感した」と振り返る。

 現在、慶応大などと共同で、詐欺に遭いやすいかどうかを高齢者が自己診断できるアプリを開発している。「だまされやすい高齢者と、周りにいる若者との間をつなぐ仕組みをつくりたい。お互いに理解が深まり、事件そのものがなくなるのが理想です」

<いわた・みなこ> 1962年、島根県生まれ。米ファッション業界で働き、帰国後はアウトレットモール支配人に。「家庭を大切に」と2007年退職。東京都の消費生活相談員を7年務め、15年にSCMCを設立。シニア消費者見守り倶楽部=電042(705)2025

 

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