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【首都圏】

<談論誘発>日本の社会経済 成長から成熟へ 首都圏の将来議論して

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◆明治大学名誉教授・青山〓(あおやま・やすし)氏

 総務省が発表する住民基本台帳によると、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口は三千五百万人を超えている。このことを「東京一極集中」と表現する向きがあるが、それは相当の飛躍であると思う。

 関東平野は、山地が七割を占める日本列島において最も広い平野で、大阪平野の十倍以上の面積をもつ。一極ではなく広いところに多くの人が住んでいるにすぎない。数え方にもよるが、ざっと日本の人口の四割が関東平野に住んでいる。なお、首都圏整備法は関東一都六県だけなく山梨県も首都圏としていて、面積はさらに広くなる。

 広いだけではない。関東平野では緻密な鉄道と道路のネットワークを形成し、それが日本全国の新幹線ネットワークや高速道路と有機的にリンクして、高度情報化時代に必要な人と物の移動量増加に適応している。

 東京については、その行政区域だけにこだわらず、日本の国土全体および関東平野全体の経済・生活・文化・交通ネットワークを視野に入れて、都市構造や課題を議論するのが常である。二〇一七年に東京都が策定した『都市づくりのグランドデザイン』は、東京が世界において果たすべき役割と日本において果たすべき役割を示した上で「交流・連携・挑戦の都市構造」として、関東平野全体の都市構造と、そこから日本全体に広がる考え方を示している。

 東京は人・物・情報の動きを通じて、日常的に関東、日本、そして世界との交流と連携で成り立っていて、それゆえに都市として不断に進化し続けている。

 関東平野のなかで、いわゆる東京大都市圏は、おおむね圏央道の範囲、すなわち直径約百キロメートルの圏域を指すことが多い。日本の社会経済は成長時代を終え、成熟段階を迎えているが、それでも東京大都市圏は、一六年に都が発表した都市白書によると、ニューヨーク大都市圏、ロンドン大都市圏に比べてはるかに多くの国内総生産(GDP)を生み出している。

 先に首都高速道路中央環状線山手トンネルの完成により東京都区部西部地区と羽田空港が短時間で結ばれたが、90%近く完成した圏央道も今後、関東平野の利便性に劇的な変化をもたらすだろう。

 鉄道の面でも、近年、武蔵野線やつくばエクスプレス(TX)など、比較的新しい路線沿線諸都市の発展が目立つが、環状方向の鉄道を整備すると効果が大きい。財政面も含め、首都圏の将来についての国民的規模の議論と正確な理解が望まれる。

 1943年生まれ。都職員を経て石原都政時代に4年間副知事。明治大学大学院教授を経て「都市調査会代表」。

<東京都「都市づくりのグランドデザイン」> 2040年代の目指すべき都市の姿とその実現に向けたもの。3環状道路(圏央道、外環道、首都高中央環状線)の整備の進展を踏まえ、従来の都心・副都心という考え方から脱却するとして、広域的な都市構造を示している。圏央道を軸として横浜・川崎・木更津、千葉、つくば・柏、さいたま、多摩を広域拠点としている。道路・交通ネットワークの発達等による時間距離の短縮を踏まえ、従来の環状メガロポリス構造よりも広い圏域も視野に産業や観光など、さまざまな分野で交流・連携の強化を図る。

 ※〓はにんべんに上が八で下が月

 

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