東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

<しみん発>街の魅力を見過ごさない 文京建築会ユース・栗生はるかさん(37)

15日のイベントに向け、打ち合わせをする文京建築会ユースのメンバー=東京都文京区で

写真

 若手建築家や学生らの「文京建築会ユース」は東京都文京区を中心に、古い建物や街並みなど地域の魅力を再発見し、保存や活用を模索する。廃業した銭湯のタイルを美術館に寄贈し、解体前の旅館を記録に残すなどしてきた。代表の栗生はるかさん(37)は「見過ごされがちだけど面白いものってたくさんある。発掘して共有したい」と話す。 (原尚子)

 文京区根津。築百年の長屋を改造し、さまざまな団体が使えるシェアオフィスで、メンバーは七月十五日の「文京・見どころ絵はがき大賞」表彰式の準備に追われていた。人に見せたい、驚かせたい場所や出来事を絵はがきにする試み。街の良さを再確認でき、今年で八回目の人気企画だ。

 ユース(youth)は英語で若者の意味。二〇一一年、建築関係の専門家で作る「文京建築会」の若手団体として発足した。

 「最初は、面白いことを見つける天才の(路上観察家)林丈二さんに勧められ、『区内の狛犬(こまいぬ)全六十体を一日で回る』とか、だんごの種類を調べるとかしていました」と栗生さん。地域を歩き回る中で、コミュニティー拠点としての価値を見直したいと注目したのが、銭湯だ。

 「全十一カ所を調べるうちに、地域の全体像が見えてきた。銭湯のとなりに豆腐屋さん、床屋さんがあり、同じ井戸水を使っていたんだ、とか」。歴史ある街づくりの工夫を感じることができたが、同時に老舗の廃業に続けて立ち会うことにもなった。豪華な宮造りの東京型銭湯の魅力を伝えるため、一部でも保存できないかと奔走を始めた。

 「おとめ湯」のタイルはモザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市)に、「鶴の湯」のペンキ絵は富士山かぐや姫ミュージアム(静岡県富士市)に引き取ってもらえた。銭湯のドキュメンタリー映画の制作にも協力し、活動の幅は広がっている。

 本郷にあった明治創業の旅館「朝陽(ちょうよう)館」(一六年廃業)は解体前に地元の依頼で、法政大の学生と調査。模型や図面、3D画像に残し、展覧会にこぎつけた。

 最近は地域の新しい動きにも注目している。「多様な人や団体が共有するシェアスペースが、街に急速に増えた。路地が消えた代わりに、自然に人が触れあえる場所を作ろうということなのかな、と。こういう井戸端の活動を取材したい」

<くりゅう・はるか> 大学で建築意匠(デザイン)を学んだ後、イタリア留学を経て、美術関連の会社でイベント、展示のディレクターを担当。現在は早稲田大建築学科非常勤講師、法政大建築学科教務助手。問い合わせは、会のホームページ(「文京建築会ユース」で検索)から。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報