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【首都圏】

ガイ氏即興人形劇場 55年の歴史に幕 千葉県で27、28日 最後の公演

ごんぎつねを演じる水田外史さん

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 現代人形劇界の鬼才と呼ばれた水田外史(がいし)さん(一九二七〜二〇〇〇年)が創立した「ガイ氏即興人形劇場」が五十五年の歴史に幕を下ろすことになった。水田さんの遺志を引き継いだ弟子たちが高齢化し、解散を決めた。二十七日から千葉県で最後の公演に臨む。 (増井のぞみ)

 今月十二日、茨城県つくば市のアトリエで最後の稽古があった。文化庁芸術祭賞を受賞した代表作「ごんぎつね」。主役の子ギツネ・ごんが、跳ねるウナギを川に豪快に投げ込む。

 「最後の舞台。いたずらっぽい子ギツネの生きざまを見せたい」。芸歴五十五年の人形遣いで劇団代表の中嶋咲枝さん(76)=東京都豊島区=は力を込めた。

 劇団に所属して四十八年。荻野義幸さん(67)=板橋区=は舞台の制作から、人形遣いまでをこなす。「命の大切さを子どもたちに伝えたい」。今、正式な団員はこの二人だけだ。最終公演は元団員の応援をもらい五人で演じる。

さよなら公演で「ごんぎつね」を披露する中嶋咲枝代表(左)や荻野義幸さん(左から2人目)ら「ガイ氏即興人形劇場」=茨城県つくば市のアトリエで

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 劇団は、水田さんが一九六三年に設立した。小学校を中心に全国の学校を回りながら、テレビの人気演芸番組「笑点」や帝国ホテルなどのショーにも出演した。欧米、南米、中国など海外公演も果たした。

 水田さんは「劇団は予備も含め四人でできる」が持論だった。団員は、最も多いときでも七人。そのときは大阪万博の住友童話館に出演した。

 中嶋さんは、水田さんの相手役を長年務めた。「毎日、十時間は練習した」。水田さんから残された「ごんぎつねを続けて」との遺言を守り、小学校や児童館で公演や体験講座を続けてきた。文化庁の巡回公演事業にも選ばれた。

 昨年二月に講座を受けた文京区の子育て広場「千石こじゃり」の高浜直樹さん(32)は「ミカンを指に差して『こんにちは』とあいさつする人形体験を親子が楽しんでいた」と話す。四十年来のファンの南部擁司さん(70)=千葉県習志野市=は「水田外史の芸がなくなるのは寂しい。人の心の裏にある絆を伝え、大人も子どもも楽しめた」と惜しんだ。

 ガイ氏即興人形劇場のさよなら公演は27、28日、千葉県の船橋市民文化創造館。人形ファンタジー(約30分)、ごんぎつね(約35分)の2部構成。27日午後3時、28日午後2時、同日午後6時。一般2500円、高校生以下1000円。問い合わせは同館=電047(423)7261。同劇場=電090(9243)0843=へ。

 

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