東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

<ようこそ!バリアフリー温泉>白壁荘(伊豆・湯ケ島) 備品にも細かな気配り

写真

 静岡県伊豆市にある湯ケ島温泉白壁荘の女将(おかみ)・宇田倭玖子(いくこ)さんは「脳梗塞で倒れた義理の父である先代を私が介護をしたときに、温泉で治してあげたいって心からそう思いました」と包み込むような表情で話してくれました。

 天城連山が眺められる中伊豆は、かつて文豪に愛された温泉地。特に井上靖が愛した白壁荘は、磨き上げられた太い柱と梁(はり)が重厚感を醸し、民芸調の家具が並ぶ古き良き旅館。だからバリアフリーにするには知恵と工夫が必要です。

 先代を見送った女将は同じく介護経験がある白壁荘のお抱え大工と、この難問に取り組みました。

写真

 玄関にある一段高さ十五センチの三段の階段と渡り廊下の段差は、取り外しできる簡易スロープを設置することでクリア=写真(上)。エレベーターを使い、二階のバリアフリールームへ。入り口にある段差もスロープで解消しています。畳敷きの和室を床張りに変えて、室内でも車いすで移動しやすくしました。 

 寝室にはベッドを用意。リビングにある机やテレビ台の高さは車いすを利用する人の目線に合わせました。

 常備されている柄の付いた棒は女将が考案しました。「ほら、これでティッシュやリモコンなどの軽いものなら自分が動かなくても手元に引き寄せられるのよ。それにこの柄を使えば洋服をクローゼットにかけることもできるわ」と実演してくれました。

 また、温泉が引かれたバリアフリールームにあるヒノキづくりのお風呂には、可動式の手すりや滑り止めが付いた踏み台などの備品も多数あります=写真(下)。お湯自慢の白壁荘の温泉は肌触りが優しくとても滑らか。刺激がないので湯あたりしにくく、のんびりとくつろげます。

 「身体の詳細な状態を教えて頂けたら、それにそって対応いたしますので遠慮なくおっしゃってください。小さな宿ですので心くばりをさせていただきます」と女将がほほ笑みます。

写真

 これらを取り組み始めて二十年−。施設改修も含め、また新たな計画があるそうです。

 (温泉エッセイスト・山崎まゆみ)

<白壁荘(湯ケ島温泉)静岡県伊豆市湯ケ島1594> バリアフリールーム1室(2人1室1万6000円〜)。食事は車いすのまま食事できる食事処(どころ)で、部屋食はない。食事のアレンジは軽度のアレルギー対応。貸し出し備品は車いす、簡易ベッド、シャワーチェアー等多数。貸切風呂も含め現在改修を検討中。要問い合わせ。電0558(85)0100

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報