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【首都圏】

野鳥写真の原点 下村兼史の生涯 有楽町で21日から図鑑原画など展示

 日本最初の野鳥生態写真家と呼ばれる下村兼史(1903〜67年)の展覧会「−下村兼史生誕115周年−100年前にカワセミを撮った男・写真展」が21日から26日まで有楽町朝日ギャラリー(東京都千代田区)で開催される。(堀内洋助)

 主催は公益財団法人・山階鳥類研究所。本展は、同研究所が所蔵する下村兼史に関する一万点を超える写真資料を中心に、一九二〇〜三〇年代に撮った貴重なオリジナルプリントや鳥類図鑑の原画などとともに、下村の生涯と功績を紹介する。額装写真五十点とパネル二十八枚などを展示する。

 下村は一九二二(大正十一)年、日本で初めて野鳥の撮影に成功する。野鳥は佐賀市の自宅の池に来たカワセミ。当時、下村は慶応大学を中退した十八歳。

 木製の三脚に固定したカメラに、自宅の部屋から長いひもを引っ張ってシャッターを押した。カワセミが止まる場所を予想して、ピントを合わせておいての撮影だった。カメラはタローテナックス(ドイツ製)で、レンズはゴルツドグマーF4・5の15センチ。シャッタースピードは五分の一秒。感光材料はフィルムではなく手札判のガラス乾板。

 野鳥を写真で記録する人が珍しかった時代に下村は日本各地で野鳥を撮影した。カメラを扱う特殊技術と野鳥を観察する知識が卓越していた。三五年、ロンドンで開催された万国自然写真博覧会に出品し、国際的な評価を得た。日本からは九人が約五十点を出展したが、優秀作品集に選ばれたのは下村のツツドリとセンダイムシクイ、トラツグミ、ルリカケス、ナベヅルの四点だけだった。

 本展の実行委員会事務局長の塚本洋三さんは二〇〇五年から四年間、遺族から山階鳥類研究所に寄贈された写真と資料の整理保存の作業に携わった。「野鳥写真の原点に、こんなに素晴らしい人がいたことを、世の中の人に知ってもらいたい」と本展開催に向けて約四年間奔走した。野鳥や自然、写真ファンにはおすすめの写真展だ。

 会場の有楽町朝日ギャラリーはJR有楽町駅前マリオン11階。午前十一時から午後七時(最終日は午後四時まで)。会期中は無休。入場無料。問い合わせは、同ギャラリー=電03(3284)0131=へ。

<しもむら・けんじ> 1903年、佐賀市に生まれる。22年、日本初の野鳥生態写真となるカワセミを撮る。30〜39年、農林省鳥獣調査室に勤務し、日本各地の天然記念物や希少種の野鳥を撮影。39年以降、映画界に転身し、監督、演出・脚本家として活躍。野鳥観察紀行、鳥類図鑑など多数執筆。67年、逝去。享年64。

 

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