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【首都圏】

市民は立ち上がっているか 70年前本庄事件が題材 舞台で問う

けいこに励む出演者たち=東京都江東区で

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 埼玉県本庄町(現本庄市)で終戦直後、新聞が反暴力・町政刷新キャンペーンを張って町民を動かし、暴力を黙認していた警察署長らを辞任に追い込んだ「本庄事件」。東京の劇団「温泉ドラゴン」が15日から、この事件を題材にした「THE DARK CITY」を上演する。作・演出を担当した劇作家シライケイタさん(44)は「戦後、やっと手に入れた報道の自由が今、問われている。ジャーナリズムは書いているか、市民は立ち上がっているか、と訴えたい」と話す。 (五十住和樹)

 一九四八年、朝日新聞本庄通信部の記者が絹織物・銘仙のヤミ取引に絡んで警察や検察との癒着を報道。暴力団とつながりがある町議に記者が暴行された。浦和支局(当時)の記者たちが応援に駆けつけ、「暴力の町」と批判する記事を連発。これに動かされた地元住民が一万人規模の町民大会を開いて警察署長らの罷免を求め、暴力追放を決議した。五〇年には「暴力の街」として映画化もされた。

 生と死や国家などを根源的に考える脚本を書いてきたシライさん。秘密保護法や安保法制に反対した国会前デモに何度も参加したという。

 知人から本庄事件の話を聞き「お隣の韓国では数十万人がデモをして大統領を辞任に追い込んだ。日本はこれだけひどい政治が続いているのに、なぜ市民の運動が高まらないのか」と舞台化を決意。当時の資料を集め、本庄市にも通って脚本を練り上げた。

 舞台は、現在と七十年前の本庄を行き来する形で進む。暴行した町議に記者が相対し「あなたが殴ったのは僕の顔でない。ジャーナリズムであり民主主義であり、人間の自由です」と言い放つ場面もある。劇団は二〇一〇年に結成し、現在はシライさんら五人。今回は老舗劇団・俳優座などの俳優が客演し、唐十郎さんのアングラ劇で活躍した大久保鷹(たか)さんも出演する。

 韓国とは異なり、日本では政権がデモに集結した市民の声を聞くことなく次々に安保法制などを通した。シライさんは「そのむなしさ、無力感をパワーに変えて舞台で人の心を動かす種をまきたい。説得力と強度のある作品をつくりたい」と話している。

 舞台は二十一日まで東京都練馬区関町北四、ブレヒトの芝居小屋で。前売り・当日四千円。問い合わせは同劇団=電03(4571)0773=へ。

 

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