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【首都圏】

伝えたい 福田村事件 流山で17日 著者・辻野弥生さん講演会

現場近くに建てられた追悼慰霊碑の前に立つ辻野弥生さん=いずれも千葉県野田市で

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 1923(大正12)年の関東大震災直後、千葉県福田村(現野田市)で香川県から来た行商団が地元の自警団に暴行され、9人が殺害される事件があった。当時の資料や被害者らの証言から実相に追る著書を出版した辻野弥生さん(77)が17日、千葉県流山市で講演会を開く。辻野さんは「『あった』ことを『なかった』ことにはできない。知って、語り継がなければ」と訴える。 (林容史)

 辻野さんの著書「福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇」(崙(ろん)書房出版)によると、一九二三年九月六日午前十時ごろ、関東一円で薬を売りながら、茨城県に向かおうとしていた香川県の被差別部落の行商団十五人が福田村三ツ堀の香取神社で休憩した。震災後の混乱で「朝鮮人が放火した」「朝鮮人が来襲する」などの流言飛語が流れ込み、福田村と隣の田中村(現千葉県柏市)の自警団が行商団を尋問。四国地方の方言が理解できず、朝鮮人と疑い九人を殺害したとされる。

 犠牲者の中には二、四、六歳の幼児三人もいた。妊娠中の二十三歳の女性も殺害され、胎児を含めると犠牲者は十人ともいわれる。

事件があった香取神社

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 同人誌「ずいひつ流星」を主宰する流山市の辻野さんは、震災直後の朝鮮人虐殺を調べていた時、福田村の事件を知り、大きな衝撃を受けた。知人から「野田の人間には書けない」と委ねられ、取材に着手した。

 しかし住民らの口は固く、記録も一切、残っていなかった。地元からの証言はほとんど得られなかったが、香川県側から生き残った当事者の証言を記録したテープの提供を受け、現場近くの寺の住職の協力もあり、二〇一三年七月「福田村事件」を出版した。

 辻野さんは「犠牲者たちの鎮魂のために書いた。決して加害者の罪を暴き立てるものではない」と話す。「利根川周辺をさまよっていた霊が、ようやく浮かばれました」という読者から寄せられた声に、「あったこと」を伝える思いを新たにしたという。

 講演会では取材時の苦労や著作に込めた思いなどについて語る。「加害者になった側のその後の人生が知りたい。地元の人たちに来てもらいたい」と呼び掛けている。

 講演会「福田村事件 記録して語り継ぐことの大切さと取材余話」は十七日午後一時半から、流山市の流山福祉会館で開かれる。資料代五百円、二十歳未満は三百円。事前の申し込みが必要。問い合わせ、申し込みは万華鏡ギャラリー見世蔵=電04(7190)5100=へ。

 

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