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【首都圏】

医師用「歩けるいす」 横浜の金属加工会社、千葉大と共同開発

製品発表会でアルケリスの説明をする藤沢社長(左)=横浜市中区で

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 手術で長時間立ちっぱなしの医師が楽に姿勢を保てるようにと、金属加工会社「ニットー」(横浜市金沢区)が、脚に取り付けて腰を下ろすと座った感覚が得られる装置を千葉大と共同で開発した。「歩けるいす」という意味を込め、「アルケリス」と命名。医師の疲労が軽減され、患者が受ける医療の質の向上につながると期待されている。 (加藤益丈)

 同社はグループ会社を含め社員約四十人で、独自の製品開発に取り組んでいる。四年前、医療機器販売会社の社長を通して知り合った医師の川平洋・千葉大准教授(現自治医科大教授)から、腹に小さな穴を開ける腹腔(ふくくう)鏡手術は患者の体への負担が少ない一方、長時間に及ぶことがあると聞いた。立ち姿勢の維持を強いられる医師の負担を減らせればと、千葉大と共同開発を始めた。

 アルケリスはサンダル、すね当て、いすの座面にそれぞれ似たパーツを棒状の部品につなげた構造で、左右の足に一つずつ装着する。棒状の部品は、ひざと足首の部分が一定の角度を超えて曲がらないようになっており、楽に中腰の姿勢を維持できて座っている感覚を得られる。

 一人で簡単に着脱できるのも特長で、部品の調整により身長一六〇〜一八五センチ、体重八〇キロまでの人に対応できる。素材は鉄を使い、体に触れる部分は、他社の技術を基に作った樹脂で覆っている。横浜市も地元の中小企業育成のため、補助金を出すなどして支援した。

 追求したのは、どんな体形の人でも着け心地が良いと感じてもらえる形。自社で金属加工できる強みを生かし、試作品作りと改良を計十回以上繰り返した。千人以上に体験してもらい、実際に手術で使った医師からは「自由に歩け、座ると安定感がある。手術後の疲労感がこれまでとは違う」「風呂に漬かっている感覚。腰の負担が減り、手元が安定する」と高い評価を得た。

 今月五日に同市中区で開いた製品発表会で藤沢秀行社長は「大学や他の企業、行政とタッグを組むことで完成することができた。医師の疲労軽減と、医療業界の進化を支えたい」と話した。

 当面の目標は百台のレンタル。料金は一年契約の場合、月五万六千円(税抜き)で、既に多くの医療機関から問い合わせが来ているという。

 将来的には警備員や美容師、料理人ら立っている時間が長い職種の人に利用対象を広げることや、海外での事業展開を考えている。

 

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