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【社会】

「海の森」五輪後に不安 ボート・カヌー団体8割「拠点にせず」

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 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックでボートとカヌーの競技会場として新設される「海の森水上競技場」(東京都)の大会後の利用について、本紙が都内の競技団体などにアンケートしたところ、約八割が練習拠点を移すつもりはないと答えた。都は競技団体を呼び込みたい考えだが、巨額の工費、強い風や波による競技面での障害に加え、五輪後の利用でも不安をのぞかせる結果となった。 (中沢誠)

 アンケートは昨年十一〜十二月、埼玉県戸田市の戸田漕艇場など都内近郊で練習する大学や社会人のボートチーム三十七団体と、都カヌー協会に加盟する八チームの計四十五団体に実施。ボート三十一団体、カヌー六団体が回答した。

 この結果、「海の森に拠点を移したい」と答えたのは一団体(3%)にとどまり、「今のままでいい」が二十九団体(78%)。「どちらとも言えない」は七団体(19%)だった。

 今のままでいい理由(以下、複数回答)は「交通アクセスがいい」「移転コストが心配」「水上競技場の風や波が心配」が目立った。逆に、移したい理由は「手狭」「施設の老朽化」など。

 海の森に求める条件としては「艇庫の整備」が最多で、「風や波を防ぐ対策」「移転経費の補助」が続いた。懸念として「維持管理費」「一般利用とのすみ分け」を挙げる団体が多かった。

 海の森に拠点を移す場合、現在は戸田漕艇場近くにある艇庫や合宿所を新設する必要がある。東京湾の埋め立て地で強風にさらされやすいため、横風を受けたり、垂直護岸に跳ね返った波が消えにくいとの懸念も。アクセスも課題で、最寄りの東京テレポート駅からバスが三十〜六十分に一本しか走っていない。

 海の森は、都が四百九十一億円をかけて建設。大会後はボートとカヌーの競技場として活用するだけでなく、強化の拠点やレクリエーションの場とする構想を描く。都の内部資料によると、多くのチームが利用している戸田漕艇場からの移転を想定していた。

 都は一七年三月までに後利用の具体的な運営計画をまとめる予定で、都オリンピック・パラリンピック準備局は「戸田で練習したくても狭くて参入できなかったり、戸田の練習環境に満足していなかったりする団体にとって、海の森のニーズはある」と説明している。

 <戸田漕艇場> 1940年の東京五輪(日中戦争で開催返上)のため、荒川沿いに整備。64年東京五輪ではボート会場となった。五輪後は国内の主要なボート大会を実施し、40近いボートやカヌーの競技団体が練習拠点にしている。長さ2000メートルで6レーンを備えたコースだが、現在の国際規格を満たしておらず、2020年五輪での使用は見送られた。

 

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