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【社会】

「大型バスは苦手」 軽井沢事故で死亡の運転手、会社に訴え

転落事故を起こしたバスを検証する捜査員=19日、長野県上田市で

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 長野県軽井沢町のスキーバス転落事故で、運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)は、事故時に運転していた土屋広運転手(65)=死亡=が採用面接で「大型バスは苦手、不慣れだ」と訴えていたにもかかわらず、運転技術の確認をせずに採用していたことが分かった。イー社は理由を「人手不足だった」と釈明している。土屋運転手は採用から一カ月で今回の事故を起こしていた。 (バス事故取材班)

 イー社の山本崇人(たかと)営業部長(44)によると、土屋運転手は昨年十二月に契約社員として採用された。同社はシーズンを控えて不足していたスキーバスの運転手を募集しており、土屋運転手は、以前の職場で同僚だった同社の運転手の紹介で面接を受けた。

 土屋運転手はダンプカーの運転手を務めた後、二〇〇〇年に都内のバス会社に入社。約十年間勤務した同社によると、全長九メートルの中型バスの運転を担当。全長十二メートルの大型バスを運転したことは、補助運転手をした時など数回しかなかった。その後、イー社に移るまで勤めた都内の別の会社でも大型バスの経験は積まなかったという。

 面接にあたって土屋運転手は、その不安を伝えたものの、イー社は「やってほしいのはスキーバス」と伝えていた。同社は原則として採用時、入社希望者が運転する車両に社員が同乗して運転技術を見極める技量確認をしているが、土屋運転手に対しては実施せず、先月十四日に採用した。

 入社後、客のいないバスで研修を二回した結果、バス事業部で任せても大丈夫と判断したという。事故のあったツアーは、四回目の営業運転だった。イー社関係者によると、土屋運転手は、今月三、四の両日にもスキーツアーバスに乗務しており、事故現場と同じ碓氷バイパスも走った。この際には、経験の長い、もう一人の運転手が運転したという。この関係者は「カーブが多く難しい所は、メーンの運転手がハンドルを握ることになっていた」と話している。

 土屋運転手は、定員三十人以上の路線バスや貸し切りバスを運転することができる大型二種免許取得者だった。大型バスの運転経験のある東京都のベテラン運転手(51)は「大型二種免許があっても、大型バスとそれ以外ではブレーキを踏んだときの利き具合やカーブを回るときの感覚などが全然違う。慣れていないと一般道を走るのは難しい」と指摘する。

 国土交通省は、新たに運転手を採用した際、バス会社へ「初任運転者講習」を義務付けているが、経験者が転職してきた場合は、前の会社から退社後三年以内であれば講習は免除される。土屋運転手は昨年十二月に前の会社を辞めたばかりだった。

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◆250メートル前から蛇行 監視カメラに映像

 長野県軽井沢町のバス事故で、現場の約二百五十メートル手前に設置された監視カメラに、事故を起こしたとみられるバスが蛇行しながら走っている様子が写っていることが、国土交通省への取材で分かった。

 国交省の関係者によると、監視カメラに写ったバスは下り坂の右カーブでセンターラインをはみ出して走行、車体後方のブレーキランプはついていたように見えるという。現場の約一キロ手前の峠付近にもカメラが設置されており、同じバスとみられる車両が走る様子が写っていたが、異常は確認されなかった。

 

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