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【社会】

「産廃」が転売重ね「食品」に カツ不正横流し 広がる闇

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 カレーチェーン「CoCo壱番屋」を運営する壱番屋(愛知県一宮市)が廃棄を依頼した冷凍カツが不正に横流しされた問題は二十日で発覚から一週間がすぎた。「産業廃棄物」が「食品」として横流しされることは、法律も想定外の行為。食品卸売業「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)では、産廃処理業「ダイコー」(愛知県稲沢市)から横流しされた百八品目が見つかるなど、不正行為の闇はいっそう広がっている。

 昨年十二月中旬のことだった。「普通の半値以下じゃないか」。愛知県内で、二百九十円という安さが売りの弁当店を経営する角田幸吉さん(64)は目を丸くした。業者の店頭に、冷凍ビーフカツが一枚四十〜四十五円で売られていたからだ。

 ビーフカツは普段使えない高級食材。残っていた三十五枚、「あるだけちょうだい」と叫んだ。

 持ち帰って試食したが、味が悪く、店のまかないにした。「失敗作だったんだ」と話したカツには「壱番屋」の文字があった。

 ダイコーからみのりに横流しされた壱番屋製カツ。本紙の調べでは、ゼロだった商品価値が、転売を繰り返すたびに五〜十三円ずつ上乗せされ、最後は八十円になった。

 宅配弁当大手「ハローランチ」を運営する木村家(名古屋市)は、名古屋市内の仲介業者から六十二円で四千枚を買った。ファクスで「特売品」の知らせがあり、飛び付いた。

 松田憲治社長(64)は「大手メーカーやコンビニの規格外品が特売されることはよくある。取引は信頼関係。仕入れ先はあえて聞かないのが暗黙のルール。逆手に取られてしまった」と打ち明ける。

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 小売店からすれば、産廃業者から「食品」を購入することはありえない。だがダイコーとみのりが組むことで、ロンダリング(浄化)が成立する。

 ダイコーは代表(75)が一九七八年に創業した。民間調査会社などによると、飼肥料製造のほか、運送部門もあり、従業員は計五十人。二〇一四年の売り上げは四億五千五百万円だった。

 二十年近く取引する静岡県の業者(46)は「包装された食品を手間暇掛けて仕分けし、処理してくれる希少な会社」と説明する。実際、本紙の取材では、取引がある食品メーカーはみな大手だ。

 ダイコーは周辺で悪臭騒ぎを起こしており、一五年度までの五年間に二十三件の苦情が行政に寄せられた。県は廃棄物処理法に基づき、一四、一五年に計六回立ち入り調査し、施設改修を指導した。

 ダイコー代表は、愛知県の調査に「私が一人でやった」と横流しを認めたとされるが、取材には応じていない。問題発覚後、社には、代表も、従業員の姿もほとんどない。

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 みのりの冷凍室は広さ六十平方メートルほど。高さ三メートルの天井近くまで、段ボール箱が積み上がっていた。

 岐阜県職員が十五日以降、段ボール箱を一つずつ確認すると、出るわ出るわ。ビンチョウマグロ、焼き鳥、骨付きフライドチキン、みそ、菓子、野菜の煮物…計百八品目。いずれもダイコーから横流しされ、大半は賞味期限切れだった。

 実質経営者(78)の発言はしばしば二転三転する。県の担当者は「裏付ける伝票など書類がなく、経営者の説明が本当かも分からない」と打ち明ける。

 百八品目の製造元は北海道から九州まで二十一都道府県に及ぶ。県は関連する自治体にも調査を依頼し、流通経路の特定を急ぐが、「終わる見通しは立っていない」と担当者。

 愛知県警は廃棄物処理法違反の疑いで十四日にダイコーを家宅捜索し、ダイコー代表から任意で事情を聴くなど、捜査している。

 

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