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【社会】

歴史資料なのに廃棄!? 国立公文書館 18年度にも満杯

 歴史的に価値が高い公文書などを管理する国立公文書館の本館(東京都千代田区)と分館(茨城県つくば市)の文書保管能力が、早ければ二〇一八年度中にも限界となる可能性が生じている。新館の整備も具体化していない。各省庁で保管期限が切れた重要文書が廃棄される懸念がある。特定秘密保護法施行で政府の情報公開への姿勢が問われる中、保管に支障が出れば国民の知る権利が阻害されかねない。 (中根政人)

 内閣府によると、本館の九割、分館の七割の保管場所が埋まり、あと三〜四年で満杯となる。新館は衆院議院運営委員会の小委員会で建設地の選定を進め、昨年通常国会中に結論を出す方針だった。だが昨年八月の中間取りまとめでは、意見調整の遅れから国会議事堂周辺の二カ所を候補地に挙げるにとどまった。

 公文書管理法に基づき、公文書は保管期限がくるまで各省庁が管理する。保管期限後は、政府が「歴史資料」と判断した重要な文書は、公文書館に移る。

 保管能力が限界を超えれば、本来公開すべき公文書が各省庁で廃棄されることにつながる。特定秘密の指定を解除された文書も、解除後は一般の公文書と同じ扱いになるが、歴史資料と判断されるべき文書が多いとみられる。本来は公文書館で公開されるべき文書が政府の都合で廃棄される可能性を助長しかねない。

 公文書館は施設面などで諸外国に比べ、貧弱さが問題とされてきた。一三年度に保管期限が終わった文書ファイル約二百八十万件のうち、公文書館(一部は外交史料館など)に移されたのは0・3%の約九千八百件にすぎない。公文書の所蔵量も諸外国より劣っている。

 職員は五十人に満たず、米国の約二千七百人や英国の約六百人に比べ圧倒的に少ないのが現状だ。

 公文書管理の問題に詳しい長野県短大の瀬畑源(せばたはじめ)助教は「国の省庁は、行政文書を国立公文書館に移管して情報公開を進めることにそもそも消極的だ。施設や職員の拡充と同時に、各省庁に文書移管を要求する権限の付与など、公文書管理の抜本的な制度改革が必要だ」と指摘している。

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