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【社会】

分譲マンション住民 「民泊」お断り続々 大田区の認定条例あす施行

「民泊」はマンション住民にとって切実な問題だ=東京都江東区で(中嶋大撮影)

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 外国人観光客らを民間住宅に有料で泊める「民泊」を認める条例が29日、東京都大田区で施行されるが、都内の分譲マンションでは「民泊禁止」を打ち出す動きが出ている。管理組合側は「民泊で不特定多数が出入りすれば、セキュリティーが守られなくなる」「資産価値が下がる」と危機感を募らせる。(杉戸祐子)

 「区分所有者等は、その専有部分を利用して旅館業を営んではなりません」

 東京スカイツリーを望む足立区のマンション「イニシア千住曙町」では三十日に開く総会で管理規約を変更し、民泊を禁止する条文を追加する方針だ。

 二十四階建て、五百十五戸のほぼ全戸で所有者自身が居住し、子育て世代が多い。「いろいろな国の人が日替わりで出入りする状況は、ファミリータイプの分譲マンションになじまない」と管理組合法人の応田治彦副理事長(52)は強調する。

 インターネットの仲介サイトによる民泊がすでに広まる中、居室が仲介サイトに掲載された例はないが、近隣のマンションでは出ているという。「管理費で維持する共用部を民泊客が使うとしたら、フリーライド(ただ乗り)に当たる。一部の住民が収益を得る代わりに周囲が不利益を被るならブロックするしかない」

 民泊は大田区が政府の国家戦略特区による規制緩和を活用して開始するほか、国も今春から全国で解禁する見通し。応田副理事長は「規制緩和の影響のないうちにマンションとして禁止する必要がある」と見通す。

 最上階の三十三階にプールやスパなどの共用部があり、千八十五戸が入る江東区のマンション「ブリリアマーレ有明」は昨年六月、ブログで民泊禁止を周知した。管理規約を変更したのは二〇一四年四月。普及し始めていたシェアハウスを禁じる狙いだったが、民泊にも適用している。

 マンション内では昨年、居室が民泊に貸し出された例が複数回あり、管理組合法人は当事者を訪問したりして取り下げてもらった。

 「不特定多数の宿泊は想定していない。セキュリティー面などのリスクを考えると民泊は認められない」と管理組合法人の星川太輔理事長(39)は説明し「不特定多数が共用部を使ったら荒れる恐れがあり、資産価値の毀損(きそん)につながる」と訴える。

 不動産大手「住友不動産」(新宿区)は昨年十二月から、管理規約で民泊禁止をあらかじめ定めた新築マンションを販売している。担当者は「禁止を希望する住民の多いところでは分譲主の責任として対応する」と説明している。

◆投資用は民泊増える

 住宅ジャーナリスト・榊淳司さんの話 都市部のファミリータイプの新築分譲マンションでは民泊を禁止するケースがほとんどになるだろう。逆に、所有者自身が住んでいない投資目的のワンルームマンションは民泊用の物件が増えると見込まれる。既存の家族向け分譲マンションでは、民泊の賛否をめぐって管理組合の中で意見が割れる事例も少なくないだろう。

 <民泊> マンションなどの民間住宅に有料で観光客らを宿泊させること。有料で繰り返し他人を宿泊させる「旅館業」を営む場合、旅館業法で都道府県知事らの許可が必要と定められているが、東京都大田区や大阪府が進める国家戦略特区による民泊は、同法の適用が免除される。大田区は条例で滞在日数を7日以上としたほか、事業者が事前に近隣住民に周知することを義務付けている。厚生労働省と観光庁の有識者会議は「客室の延べ床面積が33平方メートル以上」と規定されている「簡易宿所」の現行基準を緩和し、許可を取りやすくするよう検討している。

 

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