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【社会】

高校生の主権規制 政治活動「届け出」導入の動き

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 十八歳以上への投票年齢引き下げに伴い、デモや集会参加など高校生の校外での政治活動が認められた。これを学校への届け出制とするかを、高校を所管する首都圏の七都県と四政令市の教育委員会に本紙が取材したところ、「導入しない」と明言したのは横浜、千葉両市だけで、他は「各学校に委ねる」など導入に余地を残した。届け出制は高校生の活動を萎縮させ政治参加の自由を損なうとして、高校生団体のほか、国会議員からも反対の声が出ている。 (早川由紀美)

 文部科学省は昨年十月、高校生の政治活動を禁じた一九六九年の通知を廃止し校外での活動を容認。選挙期間中に特定候補を応援するなどの選挙運動は選挙権を持つ人、高校生なら十八歳以上に限られるが、政治活動は年齢の制限はない。

 政治活動の届け出制について、文科省は今年、生徒指導関係者向けに作成したQ&A集の中で、「必要かつ合理的な範囲内」で可能とする見解を示した。

 本紙の取材に、届け出制を「導入しない」とした千葉市は、その理由を「高校生の校外での政治活動等は、家庭の理解の下、生徒が判断して行うもの」と説明。横浜市は「導入しない」ことを基本としつつ、学校の求めがあれば「その都度検討する」とした。

 「各学校に委ねる」としたのは東京都と埼玉、千葉、茨城県の四教委だった。群馬県教委は「今後、必要に応じて検討する」と答え、担当者は「具体的な事例がないので今は決められない。今後、起こったできごとに応じて学校と相談する中で、選択肢として届け出制もある」と話した。

 届け出制に対し、デモや勉強会などの活動をしている高校生団体「T−ns SOWL(ティーンズ・ソウル)」は「主権者として認められるべき自由と権利をないがしろにする」などとして、反対する声明をインターネット上などで公表している。

 維新の党の初鹿明博衆院議員は一月、政府への質問主意書で、政治志向を学校に知られることで進学や就職に影響することを生徒が恐れ、政治活動の自由が萎縮すると指摘。憲法が保障する思想良心の自由などを損なうのではないかとただした。政府は「憲法の規定も踏まえ、各教育委員会等において適切に判断すべきだ」と答弁した。

◆校外活動へ無言の圧力

 <五十嵐暁郎・立教大学名誉教授(日本政治論)の話> 十八歳選挙権をめぐっては、校内での学習内容は政治的中立性を強く求められ、学校現場は萎縮に萎縮を重ねている。そんな中で校外の活動を届け出制とすれば、高校生は無言の圧力と受け取ることもありうる。政治の能力の核となるのは主体性。それを伸ばすには自由が必要だ。

 

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