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【社会】

武器輸出にも投融資 国際協力銀、豪潜水艦など検討か

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 武器輸出を原則認める政府の政策転換を受け、政府系金融機関の「国際協力銀行(JBIC)」が、武器輸出先などへの融資や出資を検討していることが分かった。政策転換までは原則輸出禁止だったため、JBICが投融資したことはなかった。専門家は「武器輸出での金融支援は、日本経済の軍需産業への依存度を高めてしまう」と警鐘を鳴らす。 (望月衣塑子)

 JBIC広報は「武器輸出に融資や出資をするか否かは、政府が提示する案件次第だ。厳格に審査した上で判断していく」と投融資の可能性を認める。武器輸出政策を担う防衛装備庁装備政策部は「案件ごとの精査になると思うが、利用できるなら武器輸出への融資や出資を検討してほしい。JBICが成功すれば民間の金融機関も積極的になるはずだ」とする。

 JBICの投融資については、二〇一四年末に防衛省が設置した有識者会合「防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会」(座長・白石隆政策研究大学院大学長)で議論された。

 具体的には、日本から武器を輸入する側への低利融資や、海外で武器を製造するためにつくられる合弁会社や日系の現地法人への出資などが検討された。

 一方、JBIC側でも、同年四月に武器輸出を原則認める防衛装備移転三原則が閣議決定されて以降、検討を始めたという。

 JBICによる武器輸出への投融資第一号となる可能性が指摘されているのはオーストラリアの潜水艦建造事業。総事業費五百億豪ドル(約四兆円)ともいわれ、日本とドイツ、フランスが受注を争っている。日本は安倍晋三首相が日豪首脳会談などで売り込みを図っているほか、官民合同で現地説明会を何度も開いている。JBICは日本の受注が決まれば、建造のために設立される合弁会社への投融資を検討しているという。

 日米安全保障問題に詳しい前泊博盛(まえどまりひろもり)・沖縄国際大教授は「武器輸出の金融制度が整えば、日本経済は軍需産業への依存度を高め、経済発展のために武器産業がなくてはならないものになる。平和国家としての地位を築いた日本が、国際社会での信用を失い、結果、日本の安全保障そのものが脅かされかねない」と話す。

<国際協力銀行(JBIC)> 国が100%出資する、国際金融に特化した銀行。日本企業が関与する海外インフラ事業や日本企業が行う海外投資プロジェクト、日本に輸入されるエネルギー・天然資源開発プロジェクトなどに融資・出資している。2006年に日米で合意した沖縄駐留米海兵隊のグアム移転では、グアムでのインフラ整備などをめぐってJBICの融資・出資が協議された。しかし、12年に移転規模が縮小されたことで必要なくなり、実現しなかった。

 

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