東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

政務活動費で飲食認めていいの? 千代田区議会 返還訴訟が来月判決

写真

 政務活動費が飲食などに使われたのは不適切だなどとして、東京都千代田区議会の一部会派の政務活動費約千百三十万円の返還を求めた訴訟の判決が三月十一日、東京地裁である。政務活動費をめぐっては、飲食店での支出を否定した司法判断も出ているが、なかなか浸透しない。同区議会の政務活動費は、年間一人当たり百八十万円。訴えた区民は「『対岸の火事』として自分たちの問題は棚上げし、おかしな使い方を続けてきた」と追及している。 (木原育子)

 「イクラとウニのひとくち丼」(八百円)に、「大トロ」(千二百円)が四つで計六千百六十円−。元千代田区議が提出した政務活動費の領収書だ。場所は都内の高級ホテルの展望レストラン。人数欄はなぜか空白だが、別に提出した資料では、支出名目は「会議費」「三人で地域情報交換」となっている。

 「そんな場所で情報交換をする必要があるのか。ふさわしくない」。返還訴訟を起こした市民団体「千代田獅子の会」の山口修一代表(70)は憤る。「会議費というが、誰と会ったかも分からない。本当に三人だったかも疑問だ」

 訴訟は自民、公明、諸派三会派(計十三人)の二〇一一年度分政務活動費の一部返還を、山口さんが求めた。訴訟の最大の焦点は、飲み食いを伴う「会議費」名目の支出。区議会の使途基準では「飲食費は一人五千円以内」と定め、アルコールを含む飲食費の支出を認めている。ある区議は「区民の声を聞ける貴重な機会」と説明する。

 しかし、バーやスナックはもちろん、割烹(かっぽう)や居酒屋、レストランや焼き肉店など、さまざまな飲食店での支出を否定した判決がある。品川区の一部会派をめぐる〇四年の返還訴訟で、東京地裁は「社会通念上、『区政に関する調査研究』のための会合を行うのに適切な場所といえないことは明らか」などと指摘。これを受けて、品川区議会は飲食費の支出を禁止した。

 品川区議会でダメなのに、千代田区議会でOKなのが、不思議なところ。千代田区議会事務局に聞くと「他の区議会のことを言われても困る。現状として千代田区はこうだから、コメントしようがない」。同区でも使途基準で「会議に不向きな場所での打ち合わせなどは対象外」などと定めているが、訴訟の原告側の千葉恒久弁護士は「見つからなければ『ラッキー』としてきた」とみる。

 こうした政務活動費の実態は、情報公開請求をしないと詳細が分からないことが多い。同区議会事務局によると、政務活動費に関する請求件数は年間延べ十人程度。「実質的には熱心な一人か二人が請求しているだけ」(同事務局)で、返還訴訟に至ったのも山口さんが初めてだ。

 全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は「全国的に見ても、指摘を受けたらしぶしぶ返還して終わり、の繰り返し。地方議会が自ら変わる意識を持たないと、堂々巡りだ」と指摘している。

 <政務活動費> 議員報酬(給与)とは別に調査研究などに必要な経費として自治体が議員や会派に支給する。2000年に地方自治法に盛り込まれて制度が始まり、金額や使い道などは各自治体が定める。14年の総務省の調査で、全国1741市区町村議会のうち889議会で導入。15年の全国市民オンブズマン連絡会議の調査では、1人当たりの年間平均交付額は都道府県議が421万円、政令市(人口50万人以上)が396万円。

 

この記事を印刷する

PR情報