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【社会】

電力側、評価委員に810万円 川内原発の安全判断に関与

九州電力川内原発=鹿児島県薩摩川内市で

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 九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の周辺で巨大噴火を疑う異常が起きた際に、運転停止命令を出すかどうかを議論する原子力規制委員会の評価部会委員に決まった鹿児島大の火山学者ら二人が、過去に九州電力と関西電力の子会社から計八百十万円の「奨学寄付金」を受けていたことが分かった。

 鹿児島大が二〇一〇年度以降の情報開示に応じた。二人は小林哲夫名誉教授(火山地質学)と宮町宏樹教授(地震学)で、子会社二社とともに寄付の事実を認めた。規制委事務局は寄付を把握しているが情報公開していない。

 規制委は「空振りを恐れずに」安全優先で停止命令を出すとしてきた。法令上の問題はないものの、電力側と資金関係がある委員を選んだことで、判断の公正さに疑問を持たれそうだ。

 昨年八月に再稼働した川内原発の近くには、桜島を含む姶良(あいら)カルデラなど過去に巨大噴火した火山が集中。規制委は九電に火山の監視報告を求める一方、監視データの評価部会を原子炉安全専門審査会に設置することを決めた。

 委員は鹿児島大の二人と、北海道大と京都大の各一人、議決権を持たない国立機関の研究者二人で計六人。北海道大と京都大の教授は、いずれも電力側の寄付金を受けていなかった。

 規制委事務局は取材に「寄付金については聞いているが支障はない」と説明。小林氏は「電力との関係は意識しなかった。(委員としての)判断には影響しない」、宮町氏は「電力に不利なことであっても発言するつもりだ」と話した。

 開示資料によると、小林氏は一〇〜一四年度、関電系の建設コンサルタント会社「ニュージェック」(大阪市)から計三百十万円の寄付を受けた。宮町氏は一三〜一五年度、九電系の建設コンサルタント会社「西日本技術開発」(福岡市)から計五百万円を寄付された。

 奨学寄付金は外部資金を受け入れる大学の制度。特定研究者に寄付できて使途に制限はなく、積み立ても可能という。

 規制委は委員の申告に基づき、電力側の寄付金の有無を公開しているが、六人は任命手続きが終わっておらず公開されていない。

◆関係は意識しない

 <小林哲夫・鹿児島大名誉教授の話> 奨学寄付金は、南西諸島の火山で実施したニュージェック側との共同研究の費用などに充てた。電力との関係は意識していなかった。今回指摘されて「言われてみればそうだな」と思ったぐらい。委員の話は、ほかになり手がいなかったということと、私が長年カルデラ火山を研究してきたということから引き受けた。判断には(寄付金は)影響しない。カルデラの研究もしないで、危険とか絶対安全とか決めつけるのは良くないと考えている。

◆規制委に説明済み

 <宮町宏樹・鹿児島大教授の話> 九電子会社からの奨学寄付金などについては、すでに規制委に説明している。寄付金は特殊な機器による海底地震の観測や、学生の教育研究に用いた。委員として川内原発の火山監視について意見を求められることになるが、科学者として事実を曲げることはできない。九電に不利なことであっても発言するつもりだ。仮に寄付金などが規制委のルールに抵触するというのなら、委員への就任は辞退する。

 

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