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【社会】

エチオピアのJICA震災展 日本大使館が「反原発」と難色、中止に

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 東アフリカのエチオピアで昨年十月三十一日、日本紹介イベントの一環として、国際協力機構(JICA)のボランティアが東日本大震災や東京電力福島第一原発事故に関する展示を企画したところ、共催の日本大使館が「反原発」的だと難色を示し、展示が中止になっていたことが関係者への取材で分かった。

 展示は首都アディスアベバで「おもてなし」をテーマに開かれたイベントで企画され、被災者のメッセージや津波の映像と写真、震災関連死の資料などの掲示を予定していた。

 ボランティア関係者によると、大使館側は福島県が原発事故の影響を調べている県民健康調査の結果の展示などを問題視。担当者が十月上旬、JICA側に「政府と東電の責任を追及するものになる可能性がある。『反原発』のように政府方針に反するものであれば共催はできない」と、資金を含めた協力が難しいとするメールを送ってきた。

 ボランティア側は公的機関のデータを使っていることや、事故後の放射線の影響による健康被害は考えにくいとの注釈を付けることを説明。しかし十月下旬、大使館から「復興に取り組んでいるときにマイナスイメージになる」として震災関連の展示を全てやめなければ共催しないと伝えられた。JICAは中止を決め、同時に企画されていた広島、長崎の原爆展のみが行われた。

 ボランティア関係者は「責任追及や原発の是非を問う目的ではないと再三伝えた。共催してもらうために従わざるを得なかった」と話している。

 大使館側は取材に対し「特定の国や機関の責任を追及する目的なら共催できないと伝えただけ。また原発事故と原爆をひとくくりに扱うと誤ったメッセージを送ってしまいかねない。中止の要請をしたわけではない」としている。JICAエチオピア事務所は「関係団体の総意として、イベントの趣旨に鑑み結論を出した」とコメントした。

 イベントは二〇〇九年から毎年、同事務所などが日本を知ってもらうためにさまざまなテーマで開催し、大使館が共催。一二年一月には東日本大震災と原発事故、原爆の展示ブースを設けた。昨年は約五百八十人が来場した。

<JICAボランティア> 独立行政法人国際協力機構(JICA)が、発展途上国の経済、社会的発展への寄与や、友好親善と相互理解の深化などを目的として実施するボランティア派遣事業。日本の政府開発援助(ODA)を予算とし、活動分野は行政、農業、保健・医療、教育、スポーツなど多岐にわたる。20〜39歳の「青年海外協力隊」や、40〜69歳の「シニア海外ボランティア」など4種類がある。

 

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