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【社会】

熊本地震 生きる諦めない 学生アパート倒壊

犠牲者が出た学生アパートの倒壊現場で、悲しみに暮れる学生たち

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 震度7の大地震が発生した熊本県を、十六日未明、さらなる大地震が襲った。建物の中に避難することさえためらわせるほど続く強い余震。倒壊した建物からは多くの人たちが犠牲になり見つかった。「なんで、こげんなことに」。がれきの前で人々は立ち尽くした。 

     ◇

 震度6強の激震が学生アパートを押しつぶした。熊本県南阿蘇村の河陽地区。近くにある東海大農学部の「学生村」で、若者らは悲しみに暮れた。

 崩れ落ちた山が国道57号をのみ込み、阿蘇大橋を崩落させた。橋を渡った先に数十棟のアパートが集まる学生村はあり、約八百三十人が暮らす。四棟ある二階建ての「グリーンハイツ」では複数で一階部分が押しつぶされた。

 一階に住む同大三年の宮本真希さん(20)は就寝中、突然の大きな揺れに目が覚め、壁が倒れてきた。夢中で目の前の隙間に逃げ込んだが、身動きが取れない。自力で逃げた学生たちが救助活動に当たり約三時間後、知人らがチェーンソーで無事救出した。

 別のアパート一階に住む農学部の女子学生(22)も「柱か机の下か分からないが、目の前の何かの隙間に入り込んだ。『助けて!』と何度叫んでも反応はない。そのうち『壁をたたいてください』という声が聞こえたんで、夢中でどんどんと壁をたたいた」。

 同じく一階に住む同大一年の中島勇貴さん(18)はうつぶせで寝ていると、背に重たいものを感じた。「息苦しく、死にたくないと呼吸に専念した。真っ暗でどれほど時間がたったか分からないが、やがて鳥の声が聞こえ朝だと思った」。チェーンソーで体が通れるだけの穴が開き、引っ張り出された。

 学生たちの脇を、毛布にくるまれ、ブルーシートで隠された複数の遺体が運び出された。学生たちはすすり泣き、手を合わせ、黙とうした。

 熊本県警によると、遺体で見つかったのは同大四年の脇志朋弥さん(21)と、同一年の清田啓介さん(18)。二人とも一階で見つかった。身元が確認されていないが、一階に住む男子学生がもう一人亡くなっている可能性が高い。

 脇さんは勉強熱心で、頑張り屋だった。「教員になるか、大学院に進学するか相談を受けていた。本当に残念だ」。先輩の一人は悔しがった。

 清田さんは明るい性格だった。「最後に会ったのは十五日。一緒に食堂でご飯を食べた。まさか最後になるなんて…」。同級生は声を詰まらせた。

<これまでに亡くなった方々>

 【熊本県益城町】

 伊藤俊明さん(61)▽荒牧不二人さん(84)▽福本末子さん(54)▽村上正孝さん(61)▽村上ハナエさん(94)▽宮守陽子さん(55)▽富田知子さん(89)▽内村宗春さん(83)▽西村正敏さん(88)▽西村美知子さん(82)▽園田久江さん(76)▽村田恵祐さん(84)▽島崎京子さん(79)▽河添由実さん(28)▽城本千秋さん(68)▽吉永和子さん(82)▽松野ミツ子さん(84)▽山内由美子さん(92)

 【熊本県南阿蘇村】

 片島信夫さん(69)▽高田一美さん(62)▽増田フミヨさん(79)▽橋本まち子さん(66)▽清田啓介さん(18)=東海大生▽脇志朋弥さん(21)=同

 【熊本県西原村】

 野田洋子さん(83)▽内村政勝さん(77)▽大久保重義さん(83)▽加藤カメノさん(90)▽加藤ひとみさん(79)

 【熊本県嘉島町】

 奥田久幸さん(73)▽田端強さん(67)▽冨岡王将さん(84)

 【熊本市東区】

 坂本龍也さん(29)=益城町で死亡▽松本由美子さん(68)▽矢野悦子さん(95)

 【熊本市中央区】

 高村秀次朗さん(80)

 【熊本市南区】

 椿節雄さん(68)

 【熊本県御船町】

 持田哲子さん(70)

 【福岡県宗像市】

 福田喜久枝さん(63) (熊本県の発表による)

 

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