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【社会】

相模原殺傷 障害者団体の声明文に反響 「不安、きっと通じる」

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 「身近な人に不安な気持ちを話しましょう。きっと聞いてくれます」−。相模原市の障害者施設殺傷事件を受け、障害者の権利擁護などに取り組む「全国手をつなぐ育成会連合会」(大津市)の久保厚子会長(64)=写真=は二十七日、障害のある人たちにこうメッセージを発した理由について「軽度の障害の人を中心に不安の声が聞こえてきたから」と話した。本紙の取材に答えた。 (井上靖史)

 事件では、障害者の存在を否定する植松聖(さとし)容疑者(26)の供述が報道されている。他の会員らと二十六日夜にまとめた声明では「私たちの子どもは、どのような障害があっても一人ひとりの命を大切に、懸命に生きています」「今回の事件を機に、障害のある人一人ひとりの命の重さに思いを馳(は)せてほしいのです」などと訴えた。

 久保さん自身にも重い知的障害のある長男重輔(じゅうすけ)さん(41)がいる。大津市内で重度の知的障害者施設を運営する久保さんは「事件後、仲間から『何もしなくていいのか』という声が何件も寄せられた。障害者の親として思いを発信せねばという思いに駆られた」と声明を発したいきさつを話す。

 「身近な人に不安な気持ちを話しましょう。きっと聞いてくれます。生活のしかたを変える必要はありません」。二十七日朝には障害者に向けて全ての漢字に読み仮名を振ったメッセージも出した。植松容疑者の供述が報道で繰り返される中、「『自分たちはこれからどうすればいいのか』と軽度の障害の人を中心に不安が聞こえてきたから」だと説いた。

 かけがえのない命−。そう感じる瞬間は、息子や入所者との触れ合いの中にあるという。重輔さんは身の回りのこともできず、言葉も通じないほど障害は重い。だが「心と心のコミュニケーションは伝わる。冗談を言えば分かって喜んでくれる。表情の雰囲気や反応で分かる。大切な家族の一員なんです」と訴える。

 事件については「本当にやるせない。決して許されるものではない」と憤る半面、容疑者の不安定な精神状態も取り沙汰され、「もしそうなら、地域や周りが支えられなかったのかなとも思う。今後の活動で私たちは何をしなければならないのかという気持ちになっている」と複雑な思いを吐露した。

多数の死傷者が出た障害者施設「津久井やまゆり園」の献花台を訪れた夫婦=27日午後9時54分、相模原市緑区で(沢田将人撮影)

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