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【社会】

セリフに字幕、情景を音声で 田端に全国初のバリアフリー映画館

「シネマ・チュプキ・タバタ」の館内。120インチスクリーンの前に座る平塚千穂子さん(右)と佐藤浩章さん

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 耳が聞こえない人、目の見えない人のために、邦画も洋画も役者のセリフは字幕で、情景描写は音声ガイドで楽しめる「バリアフリー映画」。その専用映画館が九月一日、全国で初めて東京都北区にオープンする。運営するのは、映画館を借りるなどして上映会を開いてきたグループで、「念願の常設館」と期待する。こけら落としはチャプリンの「街の灯」。目の不自由な少女を取り巻く物語だ。 (神谷円香)

 映画館の名前は「シネマ・チュプキ・タバタ」。地元の市民団体「シティ・ライツ」代表・平塚千穂子さん(43)がつくった会社が運営する。チュプキとは、アイヌ語で「自然の光」の意味で、「優しく包み込むような場にしたい」との願いが込められている。

 JR田端駅北口から徒歩五分のビルの一階に入る。固定の座席は十五、車いす席と補助席を入れて計二十席の小ぶりなスペースだ。ここで平塚さんと、支配人の佐藤浩章さん(26)が選んだ作品を上映する。

 全座席で音声ガイドを聞くためのイヤホンをつなげられるようにした。客席の後方には個室をつくった。騒いだり泣いたりする子ども、つい大声を出してしまいがちな発達障害の人たちも、ここなら気兼ねなく鑑賞できる。平塚さんは「障害のある人もない人も、一緒に映画の感動を共有できる場にしたい」と語る。

 シティ・ライツは、平塚さんらが二〇〇一年に結成。主に目が不自由な人たちを対象に、会場に音声ガイドの機材を持ち込むなどして首都圏で映画上映会を開いてきた。今回の改装費など千五百万円は、支援者のほか常連の障害者からの寄付でまかなった。

 料金は一般千五百円。六十歳以上と学生千円、中学生以下五百円。「障害を意識しない場にしたい」と、障害者料金は設けていない。水曜日定休。問い合わせは同館=電03(6240)8480。

音声ガイドが流れるイヤホンが用意されている=いずれも東京都北区で、伊藤遼撮影

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◆対応作まだ少数

 バリアフリー映画の上映は一九九〇年代に米国で広まり、音声や字幕を流せる眼鏡型の情報機器が普及している。日本では二〇〇九年、大手映画会社と障害者団体がNPO法人「メディア・アクセス・サポートセンター(MASC)」を設立し、字幕や音声ガイドの普及に乗り出した。

 フィルムからデジタルへと変わった上映方式の技術革新が後押しした。フィルムに文字を焼き付けるのは手間がかかる。デジタル上映なら、本編データとは別に作った字幕データをスクリーンに流せばいい。

 とはいえ、バリアフリー仕様の作品は、まだまだ少ない。一五年度に公開された邦画五百八十一本のうち、日本語字幕付きは11%。音声ガイドに対応した作品は2%とさらに少ない。FM電波を飛ばす装置を設置しなければならず、映画館側の負担となるためだ。

 映画館の設備投資なしに普及を進める切り札として、MASCはスマートフォンの専用アプリを開発。スマホ画面に登録作品の字幕が映し出され、イヤホンをつなげば音声説明を聞くことができる。公開中のアニメ「ワンピース」劇場版最新作で、実験的に全国約三百館でサービスを行った。

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◆9月の上映 水曜定休

午前10時半〜 チャプリン特集

午後1時半〜 かみさまとのやくそく(ディレクターズカット版)

 〃4時半〜 チャプリン特集

 〃7時半〜 バグダッド・カフェ(ニューディレクターズカット版)

※チャプリン特集は、1〜9日「街の灯」▽10〜16日「キッド」▽17〜23日「モダン・タイムス」▽24〜30日「独裁者」

 

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