東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

都が「虚偽」の説明、費用どこへ消えた 「豊洲市場盛り土せず」疑問山積

写真

 東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転に、また問題が持ち上がった。土壌汚染の不安を払拭(ふっしょく)するための盛り土があるはずの場所に、盛り土がない。「説明不足だった」。都側はそう釈明するが、失った信頼を取り戻すのは容易ではない。 (内田淳二、北爪三記)

 「きれいな土を盛ります」。築地市場の移転を解説する都ホームページの「疑問解消ブック」には、建物の下も含め豊洲の市場用地全体に四・五メートルの盛り土をする図柄がカラーで描かれている。都は都議会などへも、全体に盛り土をしてきたと説明してきたが、実態は違った。

 盛り土がないのは、水産卸売場棟など五棟の地下。敷地面積約四十万平方メートルの三分の一を占める。代わりにあるのはコンクリートで囲まれた、がらんどうの空間だ。

 なぜ、結果的に「虚偽」となる説明をしてきたのか。

 「下水管などを配置するため。後々のメンテナンスができるようにしている」。都の担当者はそう説明する。建物の下は盛り土をしていないことは認識してきたが資料の図柄や説明方法を変更することは「思い至らなかった」という。土壌汚染対策として敷地全体に盛り土をすることなどを提言した「専門家会議」などの識者にも、詳しい説明はしていなかった。

 十日、都庁で開かれた緊急会見では盛り土をしなかった分の費用がどこに消えたのかを問う質問も出た。小池百合子知事は当初予定の三倍弱の二千七百億円余となった建設費に触れ「あまりにも膨らみすぎたので安くあげる努力をしたのか、その点も調べたい」と話した。

   □    ■ 

 土壌汚染対策についてのホームページなどでの説明と、施設の構造との食い違いを把握した経緯について小池知事は「いろんな方面から情報をもらった」とだけ述べた。地下空間を造ることがいつ、どのように決まったのかは調査中だが、都側は意図的な隠蔽(いんぺい)を否定する。

 土壌汚染対策に不備はないのか。地下空間の床は、薄いコンクリートが敷かれている場所のほか、コンクリートもない砂利だけの場所がある。建物一階の床の厚さは三十五〜四十五センチあり、担当者は「土壌汚染対策法で必要とされる安全性は確保している」と釈明する。しかし、専門家の目にさらされていない考え方について、小池知事は会見で「一番の問題」と指摘した。

   □    ■ 

 土壌汚染対策の柱となる盛り土がされていなかった問題を受け、焦点となるのは「食の安全」のための追加対策の必要性や、それに伴う移転時期への影響だ。

 小池知事は、豊洲市場での地下水モニタリングの最終結果が来年一月に出るのを待って移転時期を判断する考えだが、追加の汚染対策などが必要になれば大幅に遅れる可能性もある。「あのまま移転にOKを出していたら大変な問題になっていた。どういう結果が出るかは専門家の提言、判断になる」と慎重に判断する意向を強調する。

 建物下が空洞だったことに耐震性を不安視する声も出ている。小池知事は、元環境省審議官の小島敏郎・青山学院大教授をトップとする専門家のプロジェクトチームを設置し、安全性に加え耐震性も検証する。

 建築エコノミストの森山高至さんは「配管にあれだけ大きな空間が必要なのか」と疑問を呈す。土壌汚染対策の点からも「地下のコンクリートがどうなっているか。時間がたてば重さで沈み、ひびが入ることも考えられる。土壌から揮発成分が出てくる可能性もあるのでは」と懸念する。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報