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【社会】

警視庁、象牙の無登録売買摘発 ネット取引急増、抜け道に

違法取引されていた象牙=16日午前、東京都大田区の田園調布警察署で

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 国内での取引に必要な登録がない象牙を売買したとして、警視庁は十六日、種の保存法違反の疑いで、古物買い取り店「おたからや」のフランチャイズ店を営む株式会社モレラCD(東京都渋谷区)と、元従業員男性(29)や売買の当事者ら五人を書類送検した。

 送検容疑では、二〇一四年四月、板橋区の「おたからや蓮沼店」(閉店)で、売買に必要な登録がされていないアフリカゾウの象牙一本(長さ約五十センチ)を六千六百円で買い取り、同年五月にインターネットオークションで約五万八千円で転売したとされる。

 生活環境課によると、象牙は竜の彫刻が施されていたが、原形を保っているため、国内取引には登録票が必要。同社と五人は容疑を認め、「登録票が必要とは知らなかった」と供述している。象牙は、店に持ち込んだ都内の女性(67)の夫が一九七二年に香港を旅行した際に購入。ネットで落札した中国籍の男性(39)は「自宅の装飾品を探していた」と話している。

 象牙は、野生生物保護を目的とするワシントン条約で九〇年以降、国際取引が原則禁止された。日本国内では加工品は自由に取引できるが、未加工の象牙を売買するには、条約締結前の輸入品などに限り、所有者が一本ごとに環境相の登録を受ける必要がある。

◆「登録制度の機能に疑念」

 「本象牙一本物。品薄状態で非常に価値のある一品」。ネットのオークションサイトには、加工前の象牙が十万円以上で次々と出品されている。中には登録の有無が不明なものもある。

 アフリカゾウは近年、象牙目当ての密猟で年間二万頭以上が殺されているとされ、絶滅が心配される。印鑑などで最大の消費国だった日本では需要が根強く、国内にはワシントン条約で国際取引が禁じられる以前に輸入されたものなど在庫がある。

 売買は登録制度で規制されているが、米国の非営利組織「環境調査エージェンシー(EIA)」が昨年夏、調査のため身分を隠し、日本の買い取り業者三十七社に「無登録の象牙を買い取ってもらえるか」と尋ねたところ、十一社が違法な買い取りに応じた。業者は「本当はいけないこと…一切漏らさないとお約束してくだされば」などと答えたという。

 最近はネットでの売買も盛んで、EIAによると、あるオークションサイトで昨年落札された象牙や加工品は約二万八千件、七億円超と、〇五年の約三千八百件から十年間で急増した。調査関係者は「サイト運営者が登録の有無をチェックしているが、取引件数の増加に追いついていない。ネットが違法取引の中心になっている」と指摘する。

 NPO法人「トラ・ゾウ保護基金」(東京)によると、国内で無登録取引は横行しているとみられ、中国では日本からの象牙の密輸も摘発されている。同基金事務局長の坂元雅行弁護士は「象牙の取引に国際的に厳しい目が向けられる中、日本の登録制度が機能しているのか疑念がある」と話している。 (土門哲雄)

 

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