東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

ノーベル賞・大隅氏 「科学が役に立つのは100年後かも」

 「みんなでよってたかってやる競争が私はあまり好きではない。むしろ、誰もやっていないことを見つける楽しみが研究者を一番支える」。大隅さんは三日夜、東京工業大の大岡山キャンパス(東京都目黒区)で記者会見を開き、受賞決定の喜びと研究への思いを語った。白い顎ひげに手をやり「本当は童顔」という顔をほころばせた。

 午後八時五分ごろ、百五十人以上の報道陣が詰めかける会見場に姿を現し「少年時代はノーベル賞が夢だったが、研究生活に入ってからは全く意識の外にあった」と切り出した。

 「細胞内のごみだめ」と自ら表現する「液胞」に着目した。「今、科学が役に立つというのが数年後に企業化できることと同義語になっているのは問題。役に立つという言葉がとっても社会を駄目にしている。実際、役に立つのは十年後、百年後かもしれない」。基礎研究への情熱をにじませた。

 もみあげから顎まで続く立派な白ひげは約四十年前の外国留学前から伸ばし始めた。「童顔なのを若造に見られたくなくて。真っ黒だったのが今は真っ白になってしまった」と回顧。「無精ひげでラク。ワイフ(妻)は陰気だというので、今朝ちょっと短くした」と明かし、笑わせた。

 子どもたちへのメッセージを問われた。「あれっ? 何で? と思うことが世の中にはたくさんある。その気づきを大事にしてほしい。サイエンスにゴールはない。私はいまだに酵母にたくさんのことを問い掛けている」 (中沢誠、辻渕智之、神野光伸)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報