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【社会】

ボブ・ディランは文学か 「ノーベル賞」各界から賛否

2011年2月、米ロサンゼルスで歌うボブ・ディランさん(中央)=AP・共同

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 【ロンドン=小嶋麻友美】今年のノーベル文学賞が米国のシンガー・ソングライター、ボブ・ディランさん(75)に決まったことに、文学界などからは戸惑いや批判も漏れる。一九〇一年以来の文学賞史上で、ミュージシャンの受賞は初。文学の領域を広げたと評価される一方、既に音楽界で名声を得ているディラン氏への授賞は、王道の文学を追究する作家たちの機会を奪うとの声もある。 

 小説「トレインスポッティング」の作者である英国のアービン・ウェルシュ氏は、ツイッターで「私はディランのファンだが、これはヒッピーたちのひどいノスタルジア(郷愁)だ」と指摘。文学と音楽は別物だと強調した。

 英国の小説家ジョアン・ハリス氏も、音楽を排除した歌詞だけで独立した作品になるのかに疑問を示し、「ノーベル賞を受賞する白人男性が底を突いたということ? だったら私も(音楽賞の)グラミー賞受賞を待つわ」と皮肉った。

 一方、ストックホルムで十二月に行われる授賞式など一連のイベントにも、既に話題が及んでいる。文学賞受賞者は例年、記念講演で、文学や社会への考えを演説するのが慣例。今年は、ディラン氏が音楽を披露する「コンサート」になるのではとの臆測も飛ぶ。

 選考したスウェーデン・アカデミーの会員の一人は、報道陣の問いに「そうなるといいね」と答えた。

◆文学の概念変質 違和感がたまらない

 <文芸評論家の川村湊さんの話> ボブ・ディラン氏の受賞はかなり唐突な印象で、とても驚いている。最初に聞いたときはガセネタかと思った。昔、英国首相のチャーチルや哲学者のベルグソンといった文学畑から外れた人が受賞したことはあったが、それに近い感じか。ノーベル文学賞史上、かなり大きな変化で、スウェーデン・アカデミーの文学の概念が変質したと感じる。米国の文学者に授与しようとして見渡したときに、普通の小説家や詩人ではなく、“吟遊詩人”を選んだということで、文学の原点回帰ともいえる。彼のメッセージ性の強さが評価されたのだろう。

 <シンガー・ソングライターの泉谷しげるさんの話> ボブ・ディランがノーベル文学賞、この違和感がたまらない。不思議な感じがする。ただ、この不思議な感じも含めて、お祝いをして楽しんでほしい。

 

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