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【社会】

預貯金相続 法定割合に縛られず 最高裁 判例見直す公算

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 相続の際、亡くなった人の預貯金は話し合いなどで自由に「遺産分割」することができず、民法に定められた通りに各相続人が受け取る−。六十年以上前に示されたこの判例が年内にも見直され、預貯金も遺産分割の対象になる見通しとなった。相続人全員の合意がなくても、裁判所の判断で事例に応じた配分が可能になる。最高裁は十九日、判例変更に必要な大法廷弁論を開く。

 最高裁は一九五四年の判決で、預貯金のように分けることができる債権は「自動で(法定の)相続分を受け取れる」と判示。この判例に基づき預貯金は原則として、法定通り以外には分けられないとされてきた。

 ただ、実務上は相続人全員の合意さえあれば、預貯金を切り分ける運用が認められてきた。例えば、Aさん、Bさんの法定相続割合が半々であっても、協議の結果、Aさんは預金の八割、Bさんは預金の二割と土地を相続するといったふうに分割される。

 問題となるのは、協議が決裂した場合だ。一部の相続人が裁判所に訴えて争えば裁判所は判例に縛られた結論を出さざるを得ず、結果として不平等な相続になってしまうこともあった。

 例えば、父親が二人の息子に一千万円の預金を残して亡くなり、生前次男に海外留学費として四百万円の援助をしていたケースを想定してみる。判例では、次男は法定通り半分の五百万円を相続する権利がある。しかし、次男は四百万円を既に受け取っているので、兄は納得できない。

 今回、最高裁が判断する許可抗告審も、相続人の間でこのような争いがあり、下級審の大阪家裁と大阪高裁は判例に従った結論を出した。

 では判例見直し後はどうなるのか。先ほどの事例では、弟は五百万円を自動的に受け取る権利を失う。話し合いで分け方がまとまらなければ、裁判所は次男がもらった四百万円を考慮し、公平になるように一千万円のうち兄が七百万円、弟が三百万円を受け取るとの判断を示す可能性が高い。

 <遺産分割> 遺産は、遺言があればそれに基づいて分けられる。遺言がなかったり、記載されていない財産が見つかったりした場合は、相続人が話し合って受け取り分を決める。法定相続の割合に従う必要はないが、相続人全員が合意しないと有効にならない。話し合いがまとまらなければ、家裁に調停や審判を申し立て、平等になるよう分けられる。

 

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