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【社会】

電通 3年前にも30代男性が過労死 長時間労働「労災」

 昨年十二月に新入社員高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺した電通(東京都港区)で、二〇一三年に病死した男性社員が長時間労働による過労死として労災認定されていたことが、関係者への取材で分かった。一九九一年の若手社員の過労自殺で最高裁から企業責任が問われた後も、同社の長時間労働が改善されていない実態があらためて浮かび上がった。 (中沢誠)

 関係者によると、この男性社員は当時、三十代前半で、東京本社で自動車メーカーの広告の営業を担当。一三年六月ごろに心筋梗塞で亡くなった。その後、三田労働基準監督署が長時間労働が死亡の原因として労災と認定したという。関係者は「亡くなる直前は数カ月にわたって長時間労働が続いていた」と明かす。

 電通は本紙の取材に「社員が亡くなったのは事実。遺族の意向により、詳細については回答しかねる」とコメントした。

 電通によると、この男性社員の過労死を受け、社員の勤務状況について「恒常的に長時間労働になっていた」と判断。一三年十月〜一四年八月にかけ、深夜勤務する場合に上司の承認を必須とする仕組みに変更したり、深夜二十二時以降や休日の勤務の抑制を進めたりするなどの再発防止策を講じたという。

 しかし、昨年十二月、東京本社で働いていた新入社員の高橋まつりさんが過労自殺し、今年九月に三田労基署が労災と認定。高橋さんの残業時間は最長で月百五時間に及んだ。

 また一四〜一五年にかけては、東京本社や関西支社での違法な長時間労働があったとして、管轄の労基署から是正勧告を受けていたことも明らかになっている。

 高橋さんの過労自殺をきっかけに、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などは今月、東京本社や支社、子会社を立ち入り調査。全社的に違法な長時間労働が常態化している疑いがあるとみて調べている。

◆仕事、殺されても放すな−電通「鬼十則」

1.仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきでない。

2.仕事とは、先手先手と「働き掛け」て行くことで、受け身でやるものではない。

3.「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。

4.「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。

5.取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは……。

6.周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。

7.「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。

8.「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。

9.頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。

10.「摩擦を怖れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

◆4代目社長遺訓

 電通の社員手帳には「鬼十則」と題された社員心得が記されている。「取り組んだら『放すな』、殺されても放すな、目的完遂までは…」の一節は、高橋まつりさんの遺族側が七日の会見で問題視した。

 鬼十則は、四代目社長の故吉田秀雄氏(一九〇三〜六三年)の遺訓。吉田氏は「広告の鬼」と呼ばれ、電通を世界的な広告代理店へと育て上げた。鬼十則は六十五年前に執筆された。

 「取り組んだら『放すな』…」の一節は、九一年の若手社員の過労自殺をめぐる裁判でも、電通の過労体質の背景として問題視された。

 

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