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【社会】

<核ごみの後始末 日仏のギャップ>(中) 安全対策に福島の教訓

イギリス海峡を望む海岸で建設が進むフラマンビル原発3号機。溶けた炉心を受け止める貯水槽などを設置している=フランス北東部のフラマンビルで(山川剛史撮影)

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 北にイギリス海峡を望むコタンタン半島では、フランス期待の新型炉フラマンビル原発3号機の建設が進んでいた。出力は百六十五万キロワットの大型だ。厚さ二メートルのコンクリートの巨大なドーム状の原子炉建屋も完成し、二〇一八年の運転開始に向け、作業員が慌ただしく動き回っていた。

 原発を一望する崖の上に立つと、ふと東京電力福島第一原発の敷地に似ていると思った。案内役のフランス電力(EDF)の上級エンジニア、ベルトラン・ミショーに聞くと、高さ八十メートル以上ある崖を切り崩し、原発の敷地を造ったという。

 「津波のことを言いたいの?」と言った後、「フクシマの教訓も踏まえ、何重もの対策をしましたよ」と自信たっぷりに話した。

 欧州の多くの地域と同じく、この辺りは地盤が古く安定し、地震や津波の心配はまずない。それでも八メートルの津波を想定し、敷地は海抜十二メートルある。福島で津波に破壊された海水ポンプは、フラマンビルでは強固な建物に収容されていた。福島で建屋地下にあって全滅した非常用ディーゼル発電機は、地上の専用建屋に入れた。出入り口は厚い防水扉で防護し、航空機テロも考慮し、離れた場所にもう一系統が備わっていた。

 フィルター付きベント(排気)設備も完備。核燃料が溶けて圧力容器を突き破っても、下には千八百トンの貯水槽があり、ここで受け止める。「コアキャッチャー」と呼ばれる日本の原発にはない設備だ。

 感心していると、ミショーはニヤリとし、「もう一つあります」と言った。

 原発外には、軍隊や消防の経験者やEDFの職員らで構成する常設の「原子力事故即応部隊(FARN)」が待機しているという。重機や発電機、ポンプなど独自の装備を有し、事故があれば十二時間以内に駆けつける。その活動拠点が、原発内に造られていた。

 部隊の創設は、EDFが日本の原子力規制委員会に当たる原子力安全局(ASN)に提案した。以降は規制基準に盛り込まれた。基準ぎりぎりの対策しか講じようとしない日本とは正反対の動きといえる。

 フランスは経済性と安全性を売り物に、新型炉を世界に輸出しようと狙う。その一方で、核のごみの後始末にもめどをつけた。そのフランスにも、未解決の悩みがある。使用済みの混合酸化物燃料(MOX燃料)をどうするか決まっていないことだ。

 使用済み核燃料は、フラマンビルの北十五キロほどにあるアレバ社のラ・アーグ再処理工場に送られる。取り出されたプルトニウムは、トラックで南東約八百キロの同社メロックス工場に運ばれ、MOX燃料に加工。二十二の原発で使われる。フラマンビル3号機でも使われる予定。問題は、リサイクルの輪が、一回しか回らないことだ。

 使い終わったMOX燃料は、通常の核燃料より冷えるのが大幅に遅く、有害物質も格段に増える。さらに再処理するのは難しく、原発やラ・アーグ工場のプールでためるしかない。現在三千トン近くあり、年間百二十トンペースで増えると見込まれている。 (敬称略)

 

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