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【社会】

<核ごみの後始末 日仏のギャップ>(下) 机上の域出ぬ次世代炉

解体が進む高速増殖炉「フェニックス」。炉心部を除き、ナトリウムは抜かれ、発電タービンも解体が終わっていた=仏ガール県マルクール原子力地区で(山川剛史撮影)

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 電力の八割を原発に頼るフランスは今後、依存度を五割程度に抑える方針を決めたものの、今後も強力に原発を推進し、使用済み核燃料を再処理してMOX燃料として再利用する方針は変わりない。

 ウラン採掘から再処理、原子炉の解体まで手がけるアレバ社。福島事故では、初期の汚染水処理装置を納入したことでも知られる。営業・研究開発を担当する副社長のギョーム・デュローは「再処理してリサイクルすることが、事業者の環境への責任ある態度だと思う」と強調する。

 「リサイクル」と言えば聞こえはいいが、MOX燃料を使うと、半減期の非常に長い有害な放射性物質が大量に出る。デュローは「理論的には再び処理して使うのは可能だと確信しているが、事業としてはやっていない」とも言った。

 ただ、使用済みMOX燃料が、年百二十トンペースで原発や同社ラ・アーグ工場のプールにたまり続けているのは事実。これらを再処理するのかどうか、最終処分はどうするのかは決まっていない。

 そこで、やっかいな放射性物質を別の物質に変換するなどして大幅に廃棄物の量を減らそうと持ち上がったのが、高速炉「ASTRID(アストリッド)」計画だ。

 日本政府は、失敗に終わって廃炉の方針を打ち出した高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の代わりに、この計画に参画することで、核燃料サイクルを維持しようとしている。

 計画が一体どの程度まで進み、実現性はあるのか、コストはどれくらいかかるのか。計画の担当マネジャー、ジャンマリ・カレールに原子力・代替エネルギー庁(CEA)マルクール研究所で会うことができ、多くの質問が出た。

 「二〇一九年までが研究期間。その結果を基に、実施するかどうか決める。コストについては、まだ何とも言えない。日本からは六十〜八十人の研究者が来ていて、協力は順調」。カレールはこう答えた。

 もんじゅと同じく爆発性のあるナトリウムを冷却材に使う高速炉で、出力は六十万キロワット。三〇年ごろの運転開始を目指す。もんじゅのように燃料を増やすことは目指さず、有害物質の削減に主眼を置く−。

 明確な方針はこれくらいで、計画はまだ机上の段階であることは確かだ。

 重ねて有害物質を削減できる可能性について質問すると、「フェニックス(廃炉中)計画などで豊富な経験があり、技術的にはすべての物質を処理できる。ただ、全部をやろうとすればコストがかかり、物質の危険度とコストを考え合わせて進めることになる」と答えた。

 日仏共同研究とはいえ、フランス側が中性子の照射試験をしたいもんじゅが使える可能性はゼロに近づきつつある。「常陽」(茨城県)があるとはいえ、小型の実験炉にすぎない。

 カレールは「ロシアとの協力関係もある」と、照射試験などはロシアで実施する可能性に言及。日本からの資金提供が必要かとの質問には、「有効な資金的貢献を期待している」と答えた。 (敬称略)

 (この連載は、山川剛史が担当しました)

 

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