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【社会】

ハロウィーン 熱気の夜 渋谷の車道開放であふれる人、人、人

スクランブル交差点で通行の安全を呼びかけるDJポリス(右上)=29日午後10時53分、東京都渋谷区で

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 トリック・オア・トリート! ハロウィーン本番(31日)を目前に控えた週末夜の東京・渋谷の繁華街に、今年も思い思いに仮装した若者たちがあふれた。この季節恒例の風景となったが、混乱を防ぐため初めて、一部の車道で車の通行を規制して歩行者に開放し、様相はやや変化。さて、「カボチャおばけ」たちの反応は? (加藤健太、土門哲雄)

 「一時的に車道を開放しました」。午後八時半すぎ、軽妙な語り口で人を誘導する機動隊広報班の「DJポリス」のアナウンスが響いた。人が増え続け、警視庁はこれ以上人波を歩道にとどめれば混乱を招くと判断。蛇腹のような鉄柵で車の進入が止められると、車道をあっという間に若者らが埋め尽くした。

 ピカチュウやウォーリー、魔女に交じり、インターネットの動画が世界的に人気の「ピコ太郎」もいる。あちこちですれ違う人同士がハイタッチをし、ビルを背景に肩を組んでスマートフォンで「自撮り」。まさに歩行者「天国」だ。

 ゾンビメークの世田谷区の大学生宮口真菜さん(20)は「スクランブル交差点は混みすぎてスリが心配だった。人が分散して空間にゆとりができたので、写真が撮りやすくなってうれしい」。一万円札のかぶり物を着た新宿区の会社員小島健詩さん(26)は規制を歓迎しつつ、「当日の状況によって変えるのではなく、事前に決められていた方が分かりやすい」と話した。

 この日、JR渋谷駅前は午後六時すぎで既に、仮装した人たちでごった返していた。満員電車のような混雑ぶりで、行きたい方向になかなか歩けない。最も混み合うスクランブル交差点を中心に人があふれ、スーパーマリオブラザーズのマリオに扮(ふん)した府中市の会社員葛岡鈴夏さん(23)は「友達とはぐれちゃうからスクランブル交差点には近づきたくない」。

 ファッションビル「SHIBUYA109」前では、交通整理をしていた警察官が記念撮影を求められ、「これは仮装じゃないので」とやんわり断る姿も。

 午後七時を過ぎると目に見えて人が増えはじめたが、センター街で客引きをしていた居酒屋店員の男性(24)は「予想した六割ほどしか人がいない。寒さのせいかな」とぽつり。今年は本番の三十一日が月曜日で、何度も来ているという常連からも「ハロウィーン期間が長いから分散したのでは」との声が聞かれた。

 一方、七歳と六歳の子どもを連れた千葉県市川市のパート森美由紀さん(32)は「初めて来たが思ったよりも人が少ないので安心して楽しめる」と笑顔だった。

 周囲では、小型カメラを頭に装着した制服姿の警察官が街頭や警察車両の上から警戒を続けた。

<ハロウィーン> 10月31日に行われる祭り。欧州発祥でもとは秋の収穫を祝い、悪霊を追い出す宗教的な意味合いがある。米国を中心に民間に定着。カボチャをくりぬいた「ジャック・オー・ランタン」を作ったり、仮装した子どもたちが「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらをするぞ)」と唱えながら民家を回り、お菓子をもらう風習がある。

◆共感・感動 変身願望… 幼いころから親しんだ世代、けん引

 首都圏でも年々盛り上がるハロウィーン。事情に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの妹尾(せのお)康志主任研究員によると、きっかけは1997年に東京ディズニーランドや川崎市で始まったイベントという。

 妹尾さんは日本でのハロウィーンの広がりに「3段階論」を唱える。イベントを通じ97年から10年ほどで認知度が高まり(1段階目)、2006年からは菓子メーカーが関連商品を一斉に販売。コンビニやスーパーにハロウィーングッズが並び、より身近に(2段階目)。今は3段階目に入り「幼いころからハロウィーンに親しんだ世代が新社会人となり、消費が底上げされていく」とみる。

 立教大大学院ビジネスデザイン研究科の田中道昭教授は「単純なモノへの欲求が減り、共感や感動を得られる機会が消費行動で求められている。仮装などで仲間と楽しめるという経験価値の要素が人気の要因」と分析。「仮装は非日常を味わえ変身願望も満たす。写真を投稿すればネタになり共有拡散される」と、ツイッターやフェイスブックなどSNS(会員制交流サイト)の貢献にも注目する。

 本場米国では子ども中心のイベントなのに対し、日本では大人が仮装して参加するお祭り的色彩が強い点も特徴で、ハロウィーンに合わせ「仮装出勤」を奨励する企業もあるという。

 一般社団法人・日本記念日協会の推計では、今年の市場規模は前年比10%増の約1345億円。約1340億円だったバレンタインデーを初めて超え、「クリスマスに次ぐ額。今や完全に日本を代表する記念日として定着した」としている。 (辻渕智之)

 

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