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【社会】

出所少年を自立まで見守る 横須賀の建設会社社長がNPO

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 少年院や刑務所を出た人たちを雇用し、社会復帰を支えている神奈川県横須賀市の建設会社社長、岡本昌宏さん(41)が、出所者らに合った職業を探し、生活面の支援もするNPO法人「なんとかなる」を新たに設立した。「居場所があって、仕事にやりがいを持って、周囲を頼りにしたりされたりすることが必要」。それが再犯を防ぐことにもつながると強調する。 (猪飼なつみ)

 「罪を忘れてはならないけれど、償ったら誰でも同じようにチャンスがあるよ」「偏見の目で見る人もいるかもしれない。でも、気にしなくていいと言っている人もいることを覚えておいて」

 栃木県さくら市の喜連川(きつれがわ)少年院。出院が近い九人を前に、岡本さんは緊張を解くように冗談も交えて語りかけた。

 岡本さんは、とび職で独立した三十歳のころから児童養護施設や少年院、刑務所を出た人を自分の会社で雇うようになった。少年院などに入った経験こそないが、自らも十代後半で違法薬物にはまり、周囲の助けがあって立ち直ることができた。

 二〇一三年から日本財団の財政的支援を受け、出院者らを受け入れる「職親プロジェクト」を利用。これまでに雇用した人は、十〜二十代を中心に約五十人に上る。

 だが、とび職が合わず多くの人は数カ月で退社し、今も働くのはわずか二人。インターネットで見つけた「短時間高収入」のうたい文句につられて会社を辞め、ニセ電話詐欺に加担してしまった男性もいた。彼が逮捕されたことを岡本さんは後に人づてに聞いた。

 長い間、危機感を募らせてきたが、昨年二月に川崎市で男子中学生が少年らに殺害された事件が、立ち上がるきっかけになった。「自分の雇った子たちがこんな事件を起こさないように、どうにかしなければ」

 新たなNPO法人で挑んだのは、岡本さんの会社に就職しても合わなかった場合、少年らが会社の寮に住んだまま、別の職場を体験できる仕組みづくりだ。

 横須賀市の事業に乗る形で、児童養護施設などを出た人を介護施設、不動産会社など二十九社に受け入れてもらう。少年院などを出た人を対象にするのは、「職親プロジェクト」に参加する神奈川県や東京都内のIT企業、飲食店など十社。三日から半年間、本人が納得いくまで繰り返す。

 自分に合う職業が見つかれば雇用してもらい、岡本さんが用意するシェアハウスに移る。男女それぞれ、横須賀市の5LDKの一戸建てで各五人まで住むことができる。食費込みで一人月三万円。食事を作るスタッフが付き、寮母もいる。

 職業の選択肢を増やせるよう、元教師らがパソコンの使い方などを教えるサポート体制もある。「自立できるまで見守る態勢が必要なんです」。かつての「どん底だった」自分を重ねるように、少年らを迎える。シェアハウスは年内に入れるようにし、今後増やしていく予定という。

◆職ある人 低い再犯率

 犯罪白書によると、検挙されたことがある人のうち再び検挙された割合を示す再犯者率(少年も含む)は、27・9%だった一九九七年から増加を続け、二〇一四年は47・1%に上る。〇二〜一一年の保護観察対象者で再び罪を犯して取り消しになった人の割合は、無職の人が36・3%なのに対し、有職者は7・4%で大幅に低い。

 出所者らを雇用する「協力雇用主」という制度があり、今年四月の時点で、全国の協力雇用主は一万六千三百三十社。しかし、実際に雇用しているのはそのうち約5%にとどまる。

 

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