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【社会】

福島自主避難者の優先入居枠 首都圏で4割 来春の住宅無償打ち切り後

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 東京電力福島第一原発事故から六年となる来年三月、福島県は避難区域外から避難した「自主避難者」への住宅無償提供を打ち切る方針だ。首都圏一都六県に自主避難し、無償提供を受けている世帯は約二千百世帯に上るが、打ち切り後の「受け皿」として東京都などが首都圏での公営住宅などに優先枠を設けたのは、その四割弱の八百戸にとどまることが本紙の調査で分かった。優先枠で入居できても、新たに家賃が生じる。生活の基盤を失いかねない事態に、避難者らからは、SOSの声が上がる。 (中山高志)

 福島県は原発事故以降、各地の避難先で公営住宅などの家賃を負担し、みなし仮設住宅として無償提供してきたが、昨年六月、「自主避難者」については打ち切る方針を示した。「福島での生活環境が整った」などの理由からだ。その後の住居確保について県は受け入れ先の自治体に支援を要請している。

 本紙が十月、一都六県の担当課にアンケートしたところ、首都圏で打ち切り対象となるのは、都県と市区町村の公営住宅などに住む約千八百五十世帯。福島県が借り上げている住宅の約二百五十世帯を加えると計約二千百世帯に上る。公営住宅の入居者は、無償提供の打ち切りに伴い、原則として来年三月までに退去を求められる。

 一方、退去を求められた避難者らが一般の人より先に応募できる公営住宅の優先枠を設けたのは、東京、神奈川、埼玉の一都二県で計五百二十戸。福島県も神奈川、埼玉、茨城の三県で雇用促進住宅の優先枠を計二百八十戸用意する。千葉、栃木、群馬の三県では優先枠はない。栃木県は「震災で影響を受けた栃木県民との公平性を考慮している」と説明する。

 優先枠でも避難者の希望者が多ければ競合する。入居後の家賃負担は、東京都の場合、標準で月約一万〜七万六千円。優先枠以外に各都県は、公営住宅の倍率緩和などの支援策も打ち出しているが、こちらは一般の人も含めた抽選となるため、さらに「狭き門」となる。

 自主避難者は、福島で働く父と首都圏などに避難する母子とで二重生活を強いられるなど経済的に困窮している世帯も多い。避難者問題に詳しいフリーライターの吉田千亜さんは「(事故直後の混乱などで)避難先を選べなかった避難者を再び苦境に追い込んでいる」と指摘し、避難先任せにせず、国や福島県が統一的な救済策を打ち出すことを求めている。

◆「無償提供継続を」原発被害4団体要望

 各地の避難者らでつくる「原発事故被害者団体連絡会」など四団体は八日、東京・永田町で各省庁や福島県の担当者と面会し、自主避難者への住宅無償提供の継続などを求める要望書を提出した。県の担当者は「方針通り」と説明する一方、打ち切り後に一定期間、家賃補助をするなどの支援策を講じるとして理解を求めた。だが、補助には所得要件がある上、期間も二年間に限られ、出席者からは「穴だらけの制度」「避難住宅の代わりにはならない」などの声が上がった。

<福島からの避難者> 福島県によると、避難区域からの避難や、区域外からの自主避難で県外にいる人は計4万405人(10月13日現在)。そのうち首都圏1都6県に避難するのは2万2475人で、全体の5割以上を占めている。

 

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