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【社会】

博多陥没事故、週明けに復旧へ 国交省が再度の立ち入り

埋め戻し作業が続く、JR博多駅前の道路大規模陥没事故現場=9日午前、福岡市博多区で(小型無人機から)

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 JR博多駅前の道路大規模陥没事故で現場では九日、水がたまった陥没部分(長さ約三十メートル、幅約二十七メートル、深さ約十五メートル)にセメントを含む特殊な土を投入する埋め戻し作業が続いた。福岡市の高島宗一郎市長は同日、週明けの十四日に現場の道路を通行可能な状態にしたいとの見通しを示した。

 国土交通省は同日、市交通局に対し二回目の立ち入り検査をした。現場の地下部分で行われ、陥没の原因となった市営地下鉄七隈線延伸工事の手順や態勢に問題がなかったか調べる。

 福岡市は同日、西部ガスやNTT西日本など、陥没で影響の出たライフライン事業者を集めた復旧対策会議を開いた。高島市長は、九日午後六時ごろに陥没部分の水位を超える高さまで土を入れ、十三日までにライフラインを復旧させると明らかにした。

 陥没により、地中を通る通信ケーブルやガス管などが損傷しておりガスや水道の供給は依然、一部で止まっている。停電は九日午前に全て解消した。周辺一帯は前日からの通行規制を継続。最大で十棟のビルに出された避難勧告は三棟に減った。陥没部分に隣接しており解除の見通しは立っていない。一時二カ所あった避難所は全て閉鎖された。

 陥没事故は八日午前五時十五分ごろに発生。その約五十分前に、七隈線延伸工事のトンネル天井部分の土砂が剥げ落ちる「肌落ち」という異変があった。市交通局は「風化などで弱くなっていた可能性がある」としている。

◆「回り道が面倒」通勤者うんざり

 道路陥没現場周辺では九日、通行規制で迂回(うかい)を余儀なくされた通勤者が、うんざりした様子で勤め先に向かった。一方、八日は休業が相次いだ駅前の商業施設は停電が復旧し、次々に営業を再開。陥没でできた穴への下水の流れ込みは収まり、埋め戻しに使う土を運ぶミキサー車がひっきりなしに出入りした。

 九日朝の時点で、長さ約三十メートル、幅約二十七メートルの巨大な穴には濁った水がたまったまま。事故発生直後に漂っていたガス臭や汚臭は、ほとんどなくなった。現場を見ようと規制線で立ち止まる人も多かった。

 通勤途中の会社員の女性(39)は「いつもの道が使えず、回り道をしなければならないので面倒だ」と話し、足早に職場へ向かった。陥没現場がある目抜き通りが通れないため、細い脇道に人があふれた。

 タクシー運転手の広山潔さん(47)は「規制範囲が広いため、目的地に行くのに遠回りせざるを得ない」とぼやいた。

 営業を再開した小売店に勤める七十代の男性は「仕切り直して昨日一日分の売り上げを取り戻す」と語った。

 規制区域内のビルに入る予備校「若者未来塾」は、区域外の別のビルに一時的な引っ越しを決めた。代表の川端国文さん(70)は「今月下旬には大学の推薦入試が始まるので、一刻も早く授業を再開したい」と荷造りを進めた。

◆飲食・ホテル相次ぐキャンセル

 JR博多駅前の道路が陥没した現場付近は、九日も立ち入り交通規制が続いた。飲食店やホテル、企業が軒を連ね、日頃は活気ある一帯だが、二次被害を懸念する客からの食事や宿泊のキャンセルが相次ぐ。復旧のめどは立っておらず、年末の書き入れ時を前に痛手となりそうだ。立ち入りができず、業務を別の店舗に移す企業もあった。

 陥没道路に面する串焼き屋は、事故を受け二十人の団体客が予約を取り消した。店舗への直接の被害はなかったが、店長の男性は「忘年会の予約に影響が出るのでは」と気をもむ。別の居酒屋でも二十人以上がキャンセル。男性店長(30)は「営業に影響が出ている」と嘆いた。

 現場そばのホテルでは、八日の避難勧告で宿泊客全員を別のホテルに移した。予約のキャンセルも数件あったといい、担当者は「先が見えない状態」とこぼした。建物被害がなく通常営業を続けるホテル日航福岡にも、客からの問い合わせが複数寄せられた。

 現場から約二百五十メートル北のシステムコンサルティング会社は、停電は免れたが、使っていたサーバーがダウンした。社内では業務ができず、東京の本店へ社員が赴いて対応に当たるという。担当者は「復旧するまでの代替策を練っている状態だ」と話した。

 伊予銀行(松山市)の福岡支店は、通行規制で入店できない状態が続く。窓口業務を北九州支店でもできるようにしたほか、災害時の協定に基づいて百十四銀行(高松市)の福岡支店に行員を待機させ、問い合わせに対応する態勢を取った。

 

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