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【社会】

電通社員自殺 母がシンポで訴え「大切な命を守る日本に」

自殺したまつりさんについて語りながら涙ぐむ母の幸美さん=東京都千代田区で

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 昨年十二月に過労自殺した電通の新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=の母親、幸美(ゆきみ)さん(53)が九日、東京都内で開かれた過労死防止のシンポジウムで講演した。働き方改革を進める政府に対し、「国民の命を犠牲にした経済成長第一主義ではなく、大切な命を守る日本に変えてほしい」と訴えた。

 「娘が描いていた夢も、はじけるような笑顔も永久に奪われた。続くはずだった未来も失われた」。幸美さんは、うつむきがちに無念の思いを口にした。

 電通への就職が決まり、「社会に貢献したい」と夢を語っていたまつりさん。休日出勤や深夜残業を繰り返すうち「死ぬのにちょうどいい歩道橋を探している自分に気づく」と先輩にメールするほど追い詰められていったという。

 「『年末には実家に帰るから一緒に過ごそうね』と言っていたのに…」。感情を押し殺すように語っていた幸美さんが、声を詰まらせたのは、まつりさんが亡くなった日に話が及んだときだった。

 「大好きで大切なお母さん、ありがとう。人生も仕事もすべてがつらいんです」。昨年のクリスマスの朝、まつりさんから送られた最後のメールを声を震わせながら読み上げた。

 「社員の命を犠牲にして業績を上げる企業が、日本の発展をリードする優良企業と言えるのでしょうか」と、電通の企業体質を批判。「過労死は偶然、起きるものではない」と、企業風土や業務の改善を求めた。

 シンポジウムは、今月の「過労死等防止啓発月間」に合わせて厚生労働省が主催。約五百人が集まった。

 高橋さんの過労自殺を巡っては、三田労働基準監督署が九月、労災を認定。東京労働局などは七日、他の社員にも違法な長時間労働の疑いがあるとして、電通の東京本社と三支社へ家宅捜索に入り、刑事事件に発展した。 (中沢誠)

 

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