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【社会】

豊洲移転延期 二重の経費に業者限界 都補償検討委きょう初会合

老朽化した大型冷凍庫の扉を開ける「ホウスイ」の亀山稔さん=東京都中央区の築地市場で

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 築地市場(東京都中央区)から豊洲市場(江東区)への移転延期により、豊洲に設けた設備の維持経費とともに、老朽化した築地の設備の補修を迫られている業者もある。盛り土問題の発覚で移転の先行きが見通せない中、二重の負担の苦境に「早く対応を明らかにしてほしい」と切実な声が上がる。都は十五日、業者への補償を検討する有識者委員会を初めて開く。 (内田淳二)

 「有り金すべてをはたいて準備した。月数千万円の収入があるはずが、逆に一千万円以上の損失だ」。築地で水産物を保管する冷蔵倉庫業などを営むホウスイの中島廣(ひろし)専務(68)は嘆く。

 豊洲市場には七十五億円をかけ、七階建ての冷蔵庫棟を新設した。今月七日の開場予定に備え、八月から少しずつ温度を下げていたが、延期で中身はからっぽのまま。稼働を止めると結露で設備が壊れるため、最低限の温度で冷やし続けなければならない。電気代だけで月三百万円が消え、新たに雇った人員や設備のリース代もかさむ。

 悩みは築地でも。冷蔵庫棟は築五十四年で、エレベーターやエアカーテンなどさまざまな設備が老朽化。電動扉はゴムの枠が割れ、湿気が入って内部がゆがんでいる部分もある。すべて補修するには一千万円近くかかる恐れがあるという。

 同社の亀山稔・築地冷蔵庫所長(62)は「台車を持ち上げる、備え付けのリフターが一台動かなくなった。移転するから大丈夫と思っていたが…」と困惑する。

 夫婦で青果仲卸業を営む女性(70)の店は、二百五十万円かけて新しい冷蔵庫を豊洲に入れた。築地では、備え付けの冷蔵庫二台のうち一台が、冷却用ガスが抜けて使えなくなった。コマツナなどの葉物を中心に扱っており、冬の間は一台でやりくりできそうだが夏は越せない。修理費に十万〜二十万円かかる。

冷凍庫の入り口の縁には霜がつき扉を交換しなければならない

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 「もうぽんこつで、直しても移転したら使わない。でも移転するのかしないのか、先行きが分からないので、修理すべきかどうか分からない」

 都は業者への補償内容を検討するため、弁護士や公認会計士でつくる委員会を新たに設置。十五日に初会合を開き、対象や額などの審議を始める。一方、業界団体でつくる築地市場協会は十四日、小池百合子知事あてに、豊洲市場の安全性の確認や業者への補償を早急に行うように求める申し入れ書を出した。

 協会は、移転が三カ月延期した場合、築地の水産、青果業者などの損害の試算は、二十五億円に上るとしている。都庁で記者会見した伊藤裕康会長は、業界団体の声が都に届きにくい状況にあると批判し「ずいぶんゆっくりした対応。われわれは今日明日のことに困っている」と訴えた。

 

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