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【社会】

養子縁組、ネットで紹介 年収や職業情報から実親が選択 大阪のNPO開設

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 特別養子縁組のあっせんを手がける大阪市のNPO法人が、インターネットのサイト上に養親希望者の年収や職業を掲載し、その情報を見た実の親が子どもを託す相手を選ぶ会員制の紹介システムの運用を始めたことが二十一日、分かった。NPO側は、仲介手続きを簡略化し養子縁組の件数を増やすと説明。だが専門家は、養親希望者との面談をせずにサイトで紹介する点を問題視し「育児能力の見極めが不十分」などと指摘している。

 NPO法人は「インターネット赤ちゃんポスト」というサイトを運営する「全国おやこ福祉支援センター」(阪口源太代表理事)。二〇一四年に特別養子縁組のあっせん事業を始め、大阪市に第二種社会福祉事業として届け出ている。今年十月、「赤ちゃんマッチング コウノトリ」と題した会員制サイトを新たに開設した。

 養親になりたいと希望する人は月額三千円を払えば誰でも会員登録できる。その際、センター側が面談などにより審査することはないという。サイトでは実名は伏せて年齢や職業、居住地、年収、資産を公開。センターはこれらの情報を基にランク付けして紹介する。

 実親については妊娠中から会員登録を受け付け、センターが出産予定日や赤ちゃんの性別を確認。サイトを見た実親が養親を選び、センター側が推薦することもある。その後、センターが養親側と面談し、問題がないと判断すれば妊娠段階でもあっせん契約をする。

 現在、養親希望者の会員は約百人で実親は十数人。阪口代表は取材に「養親希望者をランク付けすれば実親が選びやすくなる。対面して人格などを判断する仕組みをあえて壊し、物流のようにシステム化したいと考えた」と話す。センターが一四年以降にあっせんしたのは約三十件だが「このサイトで年三千件の成立を目指す」としている。

 一方、別のあっせん団体などは「収入や職業の情報で育児の適性を判断できるのか」と批判。東京の民間四事業者でつくる「日本こども縁組協会」は「養親希望者には複数回面談し、養子を望む理由や育てる覚悟を慎重に見極めて子どもにとってベストな判断をすることが重要。効率性の追求は危険だ」としている。実親側の安易な決断を危惧する声もある。

◆育児能力の判断に疑問も

 全国養子縁組団体協議会の白井千晶代表理事(静岡大教授)の話 特別養子縁組は自己決定ができない乳幼児の命に関するやりとりであり、単に生みの親と養親の希望が合致すればいいわけではない。社会福祉の観点から慎重な判断が必要で、インターネット上のマッチングシステムで生みの親の状況や養親の育児能力を十分に判断できるか疑問だ。

 そもそも現状は、生みの親の同意プロセスや養親選びの明確な規定がなく、各事業者の判断基準に任せられてしまっている。常識的には仲介者は双方と面談を重ねることが必要で、社会福祉士ら複数の人で協議したり、自治体への養育里親登録を義務化したりしている団体もある。不適切な事業者の参入を防ぐ根本的な規定とモデル作りが必要だ。

<特別養子縁組> 原則として6歳未満の子どもを養父母と縁組する制度。実親との法的関係が残る普通養子縁組とは異なり、戸籍上も養父母の実子と同じ扱いになる。望まない妊娠など実親が育てられない事情があり、家庭裁判所が必要と認めれば、6カ月以上の試験養育期間を経て成立する。全国の児童相談所のほか、都道府県などに、第2種社会福祉事業の届け出をした民間団体があっせん事業を営んでいる。営利目的でのあっせんは禁止されている。厚生労働省によると、2015年の成立件数は544件。

 

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