東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

東京最高峰 ごみの山だった 雲取山 浄化の一歩

ごみ拾いをする有志たち=東京都奥多摩町の雲取山で(山崎友貴さん提供)

写真

 東京都の最高峰、雲取山(二、〇一七メートル)山小屋周辺に、大量のごみが捨てられていることが分かった。大半が一九六〇〜七〇年代に捨てられたとみられ、今年に入ってから見つかった。本紙読者部に情報を寄せたフリー編集者の山崎友貴さん(50)=杉並区=ら登山愛好家がごみ拾いに取り組んでおり、都や奥多摩町も対策に乗り出したが、回収のめどはたっていない。 (小野沢健太)

 ごみが見つかったのは、山頂から約二キロの、町が所有する「奥多摩小屋」(一、七五〇メートル)の脇に広がる東側斜面。

 山崎さんは、清掃登山を呼びかける交流サイトを管理している。ここに今年八月ごろ、雲取山・奥多摩小屋周辺の実態を知らせる、こんな書き込みがあった。

 <斜面はごみの山だ>

 山崎さんは昨年二回、雲取山に登ったが、気づかなかった。

 記者が今月十六日に登ったところ、ごみは野球場ほどの広さの急傾斜地に散らばり、登山道から五十メートルほど下った一帯に、特に集中していた。最近は見かけないデザインの空き缶や空き瓶、製造年が七七年のハム、七八年のパスタの袋もあり、三十〜五十年前のごみとみられる。地中にも大量に埋まっていた。

 小屋は六〇年に完成。登山客が宿泊でき、周囲にテントを張る場所もある。小屋管理人の男性(37)は「最近の登山客は、ごみを各自で持ち帰っている。小屋で出るごみは週一回ほどヘリコプターで下ろしており、小屋脇に捨てたことはない」と困惑顔だ。

 奥多摩町観光産業課の山宮淳也係長(39)は「昔は登山で出たごみは山に捨ててくる風潮が強かった。時間がたっているので、誰が捨てたか特定は難しい」と話す。町はごみに有害物質が含まれる可能性は低いとみて、周辺環境への影響を調べる予定はないが、都などと連携して撤去を目指す。

 町や都はこれまでに二回の回収作業で、七十リットル入り土のう袋で約三百袋分のごみを集めたが、山から下ろせたのは約百二十袋で、残りは登山道脇に置いたまま。しかも斜面には、まだ膨大な量が散乱したままで、どれだけの量があるのかはっきりしない。今月二十五日にも回収作業を計画したが、前日に約二〇センチの積雪があり、断念。作業は長期化する見通しだ。

 行政の動きとは別に、山崎さんは今月六日、登山仲間六人とごみ拾いに向かい、計約三百リットル回収した。来春以降も続けるという。他にも登山客が回収する動きがあるといい、山崎さんは「行政と登山者ら民間が協力して、雲取山をきれいにする取り組みが広がってほしい」と話している。

◆「120年に一度枯れる」クマザサ枯れて発覚

 大量のごみは長年、斜面に群生するクマザサに覆われていた。これが最近、枯れて、隠れていたごみが露出した。

 富士竹類植物園(静岡県長泉町)内の苗販売店の担当者によると、クマザサは数十年に一度、花を咲かせた後に枯れることがあるという。「百二十年に一度、枯れるといわれる品種もある。竹やササの開花周期は非常に長い傾向があるんですよ」

写真

 雲取山は都の水源林。定期的に見回りをしている都水源管理事務所の職員が今年六月ごろ、ごみを発見、奥多摩町に連絡した。

 都によると、現地では五年ほど前から徐々にクマザサが枯れていき、今春ごろにはほとんどなくなったという。

<雲取山と奥多摩小屋> 東京都内で唯一、標高2000メートルを超える山で、日本百名山に数えられる。山頂付近は埼玉、山梨両県と接する。1959年の東京国体では、山岳競技の会場となり、当時から多くの登山客でにぎわっている。奥多摩小屋は奥多摩町が建設し、60年に完成。町によると、地元の民間人が何人か代替わりしながら管理していた。2002年からは、山頂近くの埼玉との都県境にある「雲取山荘」の経営者が、指定管理者となって運営している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by