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【社会】

がん患者の会400人に 子育て・働き盛り世代が悩み共有

まな娘に誕生日を祝ってもらう西口さん(右)=東京都足立区で(西口さん提供)

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 子育て世代のがん患者の「出会いの場」を、末期がんの男性がつくった。悩みを打ち明け合い、孤独を解消しよう。患者の情報を製薬会社や医療機関に届け、治療の発展につなげよう。こんな思いを共有する全国の患者で、会員は四百人を超えた。 (神谷円香)

 「抗がん剤治療を始めて二クール目が終了。ゆっくり温泉旅行にでも行きたいなぁ、ひとり旅。家族が心配するからだめですね」

 子どもを持つがん患者の交流団体「キャンサーペアレンツ」のインターネットの専用サイト。体験をつづる会員の投稿に、別の会員が「やりたい事はやった方がいいですよ! ストレスためるとよくないですよ」と励ます。

 仕事やお金、医師との関係など、当事者同士でないと打ち明けにくい深刻な話も交わされる。会員登録すると、他の会員が公開している情報を調べられる。がんの部位やステージ、年齢などだ。会員はほとんどが働き盛りの三、四十代で、平均年齢は四十二歳。

 「若いがん患者の情報はまだ少ない。僕らの声を生かしてもらえたら」。会を四月に始めた東京都足立区の会社員西口洋平さん(37)が語る。

 小学二年の一人娘を育てながら、四段階で最重度の「ステージ4」の胆管がんと闘っている。がんが分かったのは昨年二月。手術ではもう治せなかった。家族のこと、仕事のこと…。悩みが渦巻いた。

 そんな時、大手企業に勤める友人から「うちの会社で、ヘルスケア分野の新規事業を探すビジネスコンテストをやる。がんの経験を生かして応募しないか」と誘われた。

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 がん患者に必要なビジネスを考えるため、当事者や家族、医療関係者に話を聞いた。そこで、若いがん患者は高齢者と違って悩みを共有できる場所が少なく、「患者をつなぐ場はニーズがある」と知った。

 コンテストには落選したが、キャンサーペアレンツを立ち上げた。「患者が傷をなめ合うだけでは意味がない。世の中の役に立つ肯定感を得られる仕組みをつくりたい」。今は、がん患者がどんな生活を送り、どんなことを考えているかが分かるデータバンクのような機能を、この会に持たせたいと考えている。

 勤務先では正社員から週二、三回勤務のアルバイトに変えてもらい、治療を受けながらスポンサーを探して回っている。

 会う人から「末期がん患者には見えない」と驚かれる。「日中は普通に外出している。僕らが声を上げることで、がん患者は仕事ができないという偏見もなくしたい」と強調する。

 

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