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【社会】

無電柱化で伐採…「イチョウ残して」 白山通り住民「戦後復興の象徴」

無電柱化工事に伴い都がイチョウ並木の伐採を進めている「白山通り」=9日午前、東京都千代田区で(朝倉豊撮影)

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 電線を地中に埋める「無電柱化」が進む東京都千代田区の都道「白山通り」で、工事に伴うイチョウ並木の伐採に対し、地域住民や商店主らから保存を求める声が上がっている。工事区間は二〇二〇年東京五輪のマラソンコースとなる予定で、無電柱化は景観美化などが狙いだが、住民らは合意が十分得られていないとして、工事を中断して住民説明会を開くよう訴えている。 (榊原智康)

 「空襲で焼け野原になったこの地域の復興の象徴の意味合いがある」「樹齢約八十年のものもある。都心の大木は貴重だ」−。

 保存を求める住民らが、都議会に提出した陳情につづったイチョウへの思いだ。計六件の陳情が相次いで出されており、開会中の定例会で審議される。

 無電柱化の工事が進んでいるのは白山通りのうち、JR水道橋駅から神保町交差点にかけての約七百メートル。都は二〇年東京大会に合わせ、テレビ中継などが予想されるマラソンコースなどを優先的に無電柱化している。マラソンの予定コースで無電柱化されていないのはこの区間のみで、五輪前に完了する計画で八月に予算約十億円で着工した。

 電線を通す溝を地中に作ることで地上から電柱や電線がなくなる一方、地中には電線を家や店に引き込むための設備を新たに置かねばならない。工事を担当する都建設局は「その設備のスペース確保のため、並木の一部を伐採する必要がある」と説明する。

イチョウの木に貼られた伐採の告知=9日午前、東京都千代田区で(朝倉豊撮影)

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 工事区間は片側三車線あり、計画では、両側の歩道に百三十本あるイチョウの四割に当たる五十一本を伐採する。既に二十四本が切られ、残る二十七本は今月下旬に伐採予定だ。

 小池百合子都知事は、都知事選の選挙公約に「都道の電柱ゼロ化」を掲げた。景観美化のほか、地震で電柱が倒れて緊急車両の通行を妨げることを防ぐなど防災対策にもなるとし、推進に力を入れている。

 八日の都議会一般質問で、この問題について問われた小池知事は「(並木の)撤去の必要性を丁寧に説明していく必要がある。事業完了後に新しい樹木を植えるなど、できる限り緑の回復に努めることが重要だ」と述べ、伐採に理解を求めた。

 通りで古書店を営み、「神田白山通り水道橋通り商店会」会長を務める木下長次郎さん(79)=千代田区三崎町=は「住民向けの説明会も開かれないまま伐採が進んでいる。長年親しんできたイチョウをぜひ残してほしい」と話している。

 

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