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【社会】

将棋ソフト「不正証拠なし」 三浦九段「元に戻して」

調査結果を受け、時折目を閉じ質問に答える三浦弘行九段=27日、東京都新宿区で

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 将棋の三浦弘行九段(42)が対局中に将棋ソフトを不正使用した疑いを指摘された問題で、第三者調査委員会が「不正の証拠はない」と判断したことを受け、日本将棋連盟と三浦九段が二十七日、それぞれ記者会見した。連盟側は「三浦九段の対局機会を奪ってしまった」と謝罪。二カ月半にわたり潔白を訴え続けた三浦九段は「元の状態に戻してほしい」と悔しさをにじませた。 (樋口薫、森本智之)

 東京都渋谷区の将棋会館で記者会見した日本将棋連盟の谷川浩司会長(54)は「将棋ファン、棋戦主催者、何より三浦九段とその家族や関係者にご迷惑をお掛けし、深くおわび申し上げる」と謝罪し、自身を含む連盟幹部を理事報酬の三カ月間、十分の三の減給処分などにすると発表した。

 谷川会長は「週刊誌に三浦九段に関する記事が掲載されるのが確定的となり、竜王戦が中止になる可能性があった。開催することをまず第一に考えた結果、三浦九段が大きな不利益を被った」と説明。不正防止の規定をつくるのが遅れた点と、三浦九段の疑惑を指摘した対戦相手の発言の真偽確認を怠った点について責任を認めた。

 三浦九段の疑惑は、七月の対局で「終盤に約三十分の不自然な離席があった」との指摘が発端となった。しかし調査委などが当時の対局場の映像を確認したところ、小刻みな離席はあったものの、三十分に及ぶ離席はなかったことが判明。島朗(あきら)常務(53)は「(疑惑の)根本が違っていたと気づき、がくぜんとした。もっと早く確認していれば…」と苦渋の表情で述べた。

 不正の根拠とされた「ソフトの手との一致率」も、調査委から「状況により20%程度のばらつきが生じる」「不正認定に用いることはできない」と指摘された。谷川会長は「正確な情報を入手すべきだった」と悔やんだ。三浦九段は出場停止期間中、名人戦につながるA級順位戦二局で不戦敗となった。連盟は三浦九段が来期もA級にとどまれるよう地位保全の特別措置を取ることも決めた。

 調査委は二十六日、三浦九段の疑惑は「証拠がない」と認定したが、連盟が十月に三浦九段を出場停止処分とし、竜王戦の挑戦者を変更した件については「非常事態における措置でやむを得ない」と判断した。

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◆「推測で言われて悔しかった」

 一貫して不正を否定してきた三浦九段は記者会見で、前日に公表された報告書が「三十分の離席」を事実でなかったと断定した点などに触れ「それなら疑惑自体がなかったことになるのではないか。竜王戦に出場できなかったのは本当に残念だ」と訴えた。

 不正を指摘する声は対局した棋士らから上がった。来年一月以降に復帰するが「私を疑った棋士もいるので、(今後)気持ち良く対局できるかというと…」と言葉に詰まり、「勝負師なのでそういう感情に左右されず対局に臨まなければいけない」と言葉を継いだ。

 出場停止処分を受けてからの二カ月半は将棋の勉強どころではなかったという。「応援してくれる棋士や信じてくれるファンもいたが、推測でいろいろ言われるのはつらいし悔しかった」と述べた。

 会見には弁護士も同席。第三者委が出場停止処分を「やむを得なかった」と判断したことを「妥当性はみじんもなく極めて不当だ」と批判した。今後は名誉回復の方法や休場の金銭補償などについて連盟側と協議する方針も示した。

 三浦九段は竜王戦七番勝負で挑戦者に決まっていたが、開幕三日前の十月十二日に出場停止処分を受けた。竜王戦の賞金は将棋界最高額。タイトルを獲得すると四千三百二十万円、敗れても千五百九十万円が支払われるはずだった。

 

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